出版社内容情報
ずっと昔、草原にライオンがひとりっきりで住んでいました。ある日、飛べなくなった一羽の鳥が草原におりたち、一緒に過ごすようになりますが……。ライオンと鳥がたどる、はるかな時と巡る命を描いた、せつなく壮大な物語。
内容説明
あいたい―ライオンと鳥がたどる、せつなく壮大な物語。
著者等紹介
石井睦美[イシイムツミ]
1957年神奈川県生まれ。フェリス女学院大学卒業。『五月のはじめ、日曜日の朝』(岩崎書店)で毎日新聞小さな童話大賞、新美南吉児童文学賞、『皿と紙ひこうき』(講談社)で日本児童文学者協会賞、『わたしちゃん』(小峰書店)でひろすけ童話賞を受賞。絵本の翻訳も手掛け、『ジャックのあたらしいヨット』(BL出版)が産経児童出版文化賞大賞を受賞
あべ弘士[アベヒロシ]
1948年北海道旭川市生まれ。1972年~1995年旭山動物園での飼育係を経て、絵本作家として活躍。自然や生き物への深い愛情あふれる作品を数多く発表する。『あらしのよるに』(木村裕一・文/講談社)で講談社出版文化賞絵本賞、産経児童出版文化賞JR賞、『ゴリラにっき』(小学館)で小学館児童出版文化賞、「ハリネズミのプルプル」シリーズ(文溪堂)で赤い鳥さし絵賞、『新世界へ』(偕成社)でJBBY賞、『宮澤賢治「旭川。」より』(BL出版)で産経児童出版文化賞美術賞など受賞多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シナモン
128
ライオンと鳥の別れ、そして100年後には当たり前だけどみんないなくなる…その無常感に悲しくなったけどその後の命の繋がりに救われる思いがして気持ちが明るくなった。波になったり貝になったりチョークになったり…。すべての出会いには意味があるんだなぁ。あべ広士さんの色彩溢れるダイナミックな絵も相まってじーんと感動の一冊でした。2022/06/09
ちゃちゃ
127
あかあかと夕陽に染まる草原に、たった一頭のライオン。草原には動物の姿はなく百獣の王の孤独が静かに漂う。ある日出会った瀕死のヨナキウグイスは囁く「わたしをたべたらいいわ」。その日からライオンは鳥と一緒に暮らし始めた。けれど、月のきれいな夜に鳥は最期を迎える「わたし、もういくよ」。命は生と死を繰り返し、さまざまなものに姿を変え、出会い、別れる。「100年たったら」また大切な人に会えるかもしれない。そして、今まで出会った人は私にとって大切な人だったのかもしれない。生き物としての命の繋がりを優しく語る素敵な絵本だ2020/09/14
KAZOO
126
久しぶりに感動を与えてくれる絵本に出合いました。「100万回生きたねこ」を思い出しました。ライオンと小さな小鳥のその後の転生を素朴な絵ときれいな色合いで描いてくれています。日本の方の本とは思いませんでした。2019/02/24
ちょろこ
107
巡り巡っての一冊。広い広い草原にひとりぼっちのライオン。百獣の王の周りには誰もいない。そこに一羽の鳥がやってきて…というストーリー。淋しい時にやっと出会えた温もりなのに。ライオンの哀しみにじんと胸打たれた。波が貝に「いつもやさしく 海をとどけた」このシーンが優しさいっぱいですごく好き。キュンときた。自分も何度目かの100年を過ごしてるのかしら。巡り巡って、偶然ではなく必然の今があるのかしら。心地よさには意味があるのかしら。そう思うとちょっとワクワク、そして今を大切にしたくなる。100年後も会えますように。2024/10/10
Take@磨穿鉄靴
103
読友さんのレビューを見て気になって手に取る。たまには絵本も良い。絵本だからターゲットは子供だと思うけど大人が読んでも考えさせられることもある。輪廻については分からないけど積極的に否定する理由も根拠も私は持っていない。ただ「諸行無常」という視点から見たら興味深い。今現在の縁を俯瞰で、過去や未来に飛ばした視点で考えると今この瞬間の尊さが際立つ。限りある今を大切に生きたいと思う。あの時のライオンがあなたかもしれない。私は老いた鳥なのかもしれない。違うとは言い切れない。そんな話。この表紙の絵も好き。★★★☆☆2023/01/06