著者等紹介
今森光彦[イマモリミツヒコ]
1954年滋賀県生まれ。写真家。琵琶湖をのぞむ田園風景のなかにアトリエをかまえ、身近な自然を撮影する。一方、熱帯雨林から砂漠まで、世界の辺境地の訪問をかさね、生物や人などあらゆる自然を見聞し、取材をつづけている。第20回木村伊兵衛賞、第48回毎日出版文化賞、第42回産経児童出版文化賞大賞など数多くの賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぶち
103
読友さん(la brise*@mistralさん)のレビューを拝見して、たいへんに読みたくなった写真集です。 本を開くと、懐かしい秋の景色が蘇えってきます。 あぜ焼きや刈田など、秋の里山の風景や動植物を、美しい写真と臨場感ある文章で届けてくれます。それは、人の暮らしと自然が密接に溶け合った景色です。 都会で暮らしている今は、そんな景色を感じる機会がだいぶ減ってしまいました。 でも、自然の中で生きていて、自然に生かされているということを意識しがら暮らしていきたいと思わせてくれる写真集です。2019/10/13
masa@レビューお休み中
99
『春の日』と同じく、琵琶湖周辺の里山で撮影された写真集です。装丁は、やはりシンプルです。東雲色に染まった装丁の下には、秋の日の懐かしくて、美しい光景が広がっています。秋って、もの寂しくて、荒涼としたものというイメージがあったのですが、いい意味でイメージが崩れましたね。こんなにも、鮮やかで美しくて、命がみなぎっているものなんですね。柿の実の橙色、田んぼや木々の鮮やかな緑色、コスモスの赤紫色、ヒガンバナの燃えるような赤色。嗚呼、溜め息がでてしまうほどうつくしい。日本に生まれたことに感謝したくなる一冊です。2015/09/03
MI
75
今森さんの写真とエッセイ。秋というと寂しいイメージがあるが、稲刈りが終わり、稲焼きがあり、その灰が来年の土の栄養になる。秋は春のための準備だよ。秋の田んぼやコスモス、トンボなど素敵な写真がいっぱいで癒された。2024/08/25
けんとまん1007
38
秋。思い出すのは、その空気感。春の過ごしやすさとは違うものがある。稲穂。柿。この二つが自分の中では秋の代表。そして、秋冬野菜作り。里山に近いところに暮らしているので、まさに日常の断片。2019/11/13
marmelo
7
日高敏隆『人間はどこまで動物か』で名前を知った写真家。あるべき場所で慎ましく揺れたり静止したりしている柿の実、コスモス、ススキ、シオン、彼岸花。そこにやってくる蝶々や鳥。自然への畏怖と先祖への祈りを抱きながら暮らす農家の人たち。四季のひとつである秋はその年だけの秋でありながら、数千年前からの季節の循環の上に在り、動植物や人間の暮らし・知恵も、そこで代々引き継がれている。沖縄に移住してからは感じられない日本的な秋の色、光、空気感、引き締まる寒さの中に確かに感じられる暖かさ、香りなど、肌感覚のように思い出す。2017/09/16