内容説明
その日、チェルノブイリの原子力発電所が、爆発事故を起こしたのだ。ぼくの村は一八〇キロ離れていたけれど、見えない放射能で汚され、もうここに住んではいけない、と言われた。たくさんのひとが村を離れた。でも、五五人の年寄りとぼくは村に残った。父さんと母さんは、村を出るなんて思ってもいない。ぼくもこの村が大好きだから、三人で今までと同じように暮らしている。チェルノブイリ原子力発電所事故の被災地ベラルーシで、今も暮らす人々を撮影した映画『アレクセイと泉』の写真絵本。
著者等紹介
本橋成一[モトハシセイイチ]
写真家・映画監督。1963年自由学園卒業。68年『炭鉱』で第5回太陽賞受賞。91年からチェルノブイリ原子力発電所とその事故被災地ベラルーシに通い、放射能汚染地で暮らす人びとを写し撮る。97年、初の監督作品となった映画『ナージャの村』は国内外で高い評価を得る。98年写真集『ナージャの村』で第17回土門拳賞受賞。2002年1月に公開となった2作目の映画『アレクセイと泉』は、第52回ベルリン国際映画祭にてベルリナー新聞賞及び国際シネクラブ賞受賞。第12回ロシア・サンクトペテルブルグ映画祭でケンタウルス金賞など、受賞多数
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんこ
51
チェルノブイリの事故で、住んではいけない村に住み続ける人々。もし私なら、子供もいないし、その地が好きだったら住み続けます。でも、アレクセイはまだ若い。 親の気持ちをお聞きしたい。 同世代が周囲にいない生活、そして学校はどうだったのでしょうか。 色々と疑問に思う事が多いが、生活についての詳細が書かれていないのも疑問。 最たる疑問が「泉」からは放射能が検出されない事。 これを子供に読ませるのは、片手落ちになりそうで怖い。2016/04/15
遠い日
19
ベラルーシの小さな村に住むアレクセイ。1986年のチェルノブイリの原発事故後も、村を離れなかった55人の年寄りたちとアレクセイ。この地で生き、この地で死ぬことを当然のことと考える人々にとって、放射能の危険や恐怖より勝る郷土愛が切ないほどに強いのだ。奇跡の泉はそんな人々の心の支え。それでも、日本の現状を思えば、悔しくやるせない気持ちに苛まれる。人間の都合が優先される世界を憂うのは、今、わたしだけではあるまい。2015/03/31
野のこ
15
伊藤まさこさんの本の紹介があって借りました。こうゆうきっかけがないとチェルノブイリの原発の写真絵本には出会ってなかったかも。話しかけるような言葉からは村の恵みや家族と共に生きる決意がひしひしと感じられました。家族の一員である動物たち、村が誇るきれいな湧き水の泉、豊かな私たちの食料。おいしく食べていのちを繋げるというシンプルさに気づきました。2017/04/08
みさどん
12
チェルノブイリ関連で司書さんから紹介いただいた。淡々と話が進むフォトブック。慎ましく静かに暮らしていた人々が突然故郷を追われることになる悲劇。一番大事なことは何かを考えれば、出ていかないと決めた人々の胸の内も理解できる。まだ年若いアレクセイはお年寄りと共に村に残る。流れる水は腐らず、泉は強し。けれど、一帯に突き付けられる残留放射能。この後や体の内を心配するのだ!2016/10/04
かおりんご
12
写真絵本。チェルノブイリの被害があってもたくましくいきる人の姿が、描かれています。が・・・本当にすんでいていいの?と思うから、子供向けとしては微妙。2013/11/05
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