内容説明
軍事独裁のもと、ペドロ少年の家族は…。2003年度ユネスコ児童書賞、2000年度バルセロナ=カタルーニャ書店組合賞、2000年度バンコ・デ・リブロ優良図書(ベネズエラ)など受賞。
著者等紹介
スカルメタ,アントニオ[スカルメタ,アントニオ][Skarmeta,Antonio]
1940年、アントファガスタ(チリ)生まれ。映画『イルポスティーノ』の原作『ネルーダの郵便配達人』を初めとする小説で、多数の文学賞を受賞。その作品は25か国語に翻訳されている。『ペドロの作文』は、2003年度ユネスコ児童書賞のほかに、2000年度バルセロナ=カタルーニャ書店組合賞、2000年度バンコ・デ・リブロ優良図書(ベネズエラ)、などを受賞している
ルアーノ,アルフォンソ[ルアーノ,アルフォンソ]
1949年、トレド(スペイン)生まれ。出版社でアートディレクターを勤めながら、二十点以上の児童書の絵を手がけ、高い評価を得ている
宇野和美[ウノカズミ]
出版社勤務を経て、スペイン語児童文学翻訳に携わる
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
oldman獺祭魚翁
39
絵本というものの持つ力を知らしめる傑作。チリのピノチェト独裁政権が出来て、激しい思想弾圧が起き、2万人余りが消されました。その時期を描き告発した絵本です。世界26ヶ国語に翻訳され、チリの独裁政権の弾圧ぶりを世界に訴えました。ペドロの家では両親は毎晩ラジオを聞いています。それは聞こえ難いけれど国外から流れてくるラ時をです。ペドロは学校で軍人から作文を書くように指示されます。その題は「わが家の夜のすごしかた」……なんという卑劣なテーマでしょう。そしてペドロが書いた作文は……? 2022/12/01
たまきら
37
アントニオ・スカルメタによる絵本です。軍事政権下で生きる子供たち。親。言いたいことが言えない恐ろしさ。娘は一人で読み、「上手にかけたっていうことなのかな?でも、なんだか普通の作文だよね」との感想。そう、普通を書くことが逆に創作な国だってあるんだよ、と言いたかった。この本はいつか娘に読み返してもらって、感想を聞いてみたい。2020/01/22
リコリス
32
「絵本で世界を学ぼう」を読んで。 「『わが家の夜のすごしかた』で作文を書きなさい」朝一番に学校にやってきた軍人の言葉。子供達の素直さにつけ込んだ恐ろしさに背筋が冷たくなった。1970年代軍事独裁下のチリでは独裁に反対すれば連行されてしまう。突然の出来事の中、家族を守った9歳のペドロ少年の知恵に感心した。2021/02/15
gtn
30
人として当たり前のことを言っただけで、命の危険に晒される世界。かつて、人間と国家のどちらが大事かも分からない、軍人という名の馬鹿が、庶民という名の英雄を支配した国が実在した。2021/06/12
ベル@bell-zou
26
ペドロは、作文でサッカーボールをもらうことは叶わなかったけれど、大切な両親を守った。子供だからと侮ってはいけない。親や周りの大人を子供なりにちゃんと見て考えているしそれが出来るんだ、というメッセージ。◆1973年9月11日、チリ軍事クーデター。思想弾圧による殺害は二万人。15年に渡る独裁政治の間の亡命者は人口の10%にあたる100万人。それまでもそれからも世界は血を流し続けている。[2003年ユネスコ児童書賞 受賞]2018/12/14