内容説明
近世前期に生じた御家騒動の特徴の一つには、幕府権力の強い介入があるとされる。しかし、子細にその経過をみると、幕府が騒動に積極的に介入したというよりは、むしろ大名・家中の側から幕府に訴訟し、自ら幕府の介入を招いているような節がある。また、御家騒動が幕府に露見すれば改易になるといった固定観念が、一般的な歴史書の叙述のなかで繰り返されている。しかし、御家騒動が幕府に露見して改易にならなかった事例は多いし、御家騒動が即、改易につながるのであれば、なぜ大名・家中の側から幕府に訴訟をするのだろうか。つまるところの本書の問題関心は、右のような疑問から生じている。
目次
第1部 幕藩制的秩序の諸相(幕藩制的秩序の原理;慶長・元和期の秩序転換;幕藩制的秩序の安定化;武家権威の動揺 ほか)
第2部 御家騒動の近世的展開(慶長・元和期の御家騒動―最上騒動を中心に;寛永期の御家騒動―黒田騒動を中心に;寛文・延宝期の御家騒動―越後騒動を中心に;大名の相続と御家騒動)