出版社内容情報
インドネシアの恵まれた家庭で育ち、環境保全活動に積極的に取り組むマリア。中学校での日々を一生懸命にすごしながらも、地元に残された友人に罪悪感を抱えているアリ。檻の中に監禁されたオランウータンのジンジャー。それぞれの視点から、インドネシアが直面している環境問題と、それによって生まれたオランウータンの窮状を描く。
内容説明
「インドネシアとカナダ、ふたつの祖国の間でゆれるマリア」遠い存在の二人の間にいたのは…「森の人」でした。「罪悪感を抱えながら、日々を懸命に生きるチェスの名手アリ」
著者等紹介
カダルスマン,ミッシェル[カダルスマン,ミッシェル] [Kadarusman,Michelle]
オーストラリアのメルボルンで育つ。インドネシアにも在住経験があり、現在はカナダのトロントで作家活動をしている
村上利佳[ムラカミリカ]
愛知県生まれ。南山大学外国語学部英米科卒業。やまねこ翻訳クラブ会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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菱沼
1
何年か前にSDGsの話で、インドの縫製工場が倒壊してたくさんの労働者が亡くなったと聞いた。多くが最低どころでない賃金で働く女性だった。頑丈でない建物にたくさんのミシンを入れたのが原因らしい。彼女らはそれでもお金を稼がなくてはならなかったし、雇い主もまた企業に雇われる身だった。安い服はこうして作られている。けれども不買をすれば彼女たちは稼げなくなる。理不尽なことの多さ。マリアやアリの勇気、何より「知らない」ことの罪を思う。たいていの人は善人だと私は思うから、知れば理不尽は減るのかもしれない。2025/07/12