出版社内容情報
そもそもの問題は、水がたりないことだった。
インド有数の大都会ムンバイ。12歳のミンニと15歳の兄サンジャイが暮らすスラムには、ムンバイの人口の40パーセントが住んでいるにも関わらず、水は市全体の5 パーセントしか供給されていない。水不足がきびしくなる三月のある夜、サンジャイが「水マフィア」を目撃してしまい……。家族の絆、友情、そしてインドの「今」を描く、勇気と成長の物語。
内容説明
人は、水なしでは生きていけない。でも、ほんとうに必要なのはそれだけじゃない。家族、友情、シスターフッド、大人になるということ…手に汗にぎる!青春ストーリー。
著者等紹介
バジャージ,ヴァルシャ[バジャージ,ヴァルシャ] [Bajaj,Varsha]
インドのムンバイで生まれ育つ。1986年大学院生として米国に留学。修士号を取得した後、米国でカウンセラーとして働き結婚。テキサス州ヒューストン在住
村上利佳[ムラカミリカ]
愛知県生まれ。南山大学外国語学部英米科卒業。商事会社勤務を経て翻訳家に。やまねこ翻訳クラブ会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
147
蛇口を捻れば流れる水、お腹を下さない水。世界中を見渡しても恵まれた地域は限られている。貴重な水が僅かにあったとして、近くの豪邸は潤うのに、スラムには少ししか流れてこない。誰もが同じ時間を過ごしているのに。水マフィアや格差の中で、純粋な子どもたちの人生は振り回されていく。価値のあるものがあると、ルールを守れない者が現れて、いざこざを起こす。助け合い、分かち合いを忘れてしまうのかな、大人は。12歳の少女は大人が思っているほど幼くなく、しっかりした考えを構築できる。終盤に向けて徐々に増していく緊張感が爽快です。2025/06/14
☆よいこ
102
児童書。YA。インドの都市ムンバイのスラムに住むミンニは貧しい中、家族と仲良く暮らしていた。スラムは水不足が深刻な問題だった。水マフィアに追われた兄サンジャイは町を出て隠れ、母親は病気で田舎に行った。ミンニは母親の代わりに使用人として働く事になる。毎日の水の確保と仕事に疲れ果て、ミンニは学校の勉強ができなくなってしまった▽貧しい中助け合う人々、学びたい子供を励ます大人の姿があった。希望のある終わり方で良かったけれど、現実って厳しい。2024年発行2025/04/29
花ママ
57
今年の青少年読書感想文全国コンクール、中学生の課題図書の1冊を読んでみました。インドの大都会のスラム街に住む12歳のミンニと15歳の兄サンジャイ。そこでは慢性の水不足が続いている。水道の蛇口から水が出る世帯は市全体の5%。そんな中「水マフィア」と呼ばれている悪党集団もいる。サンジャイはそのマフィアが原因で、遠く離れた農村へ行かねばならなくなる。お母さんの病気で、お金持ちのマンションで働くことになったミンニ。貧富の差を目の当たりにする。しかし、こうした境遇にも負けずミンニは、自分の未来に希望を持つ。2025/05/08
chiaki
30
2025年中学校課題図書。ミンニの住む大都市ムンバイのスラムは水不足が深刻化。生きていくための水を確保するのに苦労しながら暮らしている。ある日、兄は水を巡る闇の世界を目撃していまい生活は一変…。追われる身となった兄は安全のため遠く離れた地で暮らすようになり、母も病気で離れ離れ。数々の逆境と根強く残る格差や差別に直面しながら、勉学、仕事、家事に励む12歳のミンニがなんとも痛々しい。未来を信じ、ひとつひとつ乗り越えてゆく姿に心打たれると同時に、正しくいれば必ず手を差し伸べてくれる周りの人に私も改めて感謝。2025/05/25
わむう
23
青少年読書感想文課題図書・中学生の部。ムンバイのスラムには市の40%の人口が住むにも関わらず、水は市全体の5%しか供給されない。家に水道はなく、共同の蛇口があるだけ。水マフィアの顔を見てしまった兄は安全のため親戚の家に、母は病気の療養のため田舎へ行くことに。母の代理で家政婦の仕事を頼まれ、学業、家事と多忙になり勉強が疎かになっていってしまう。富裕層の家で蛇口をひねると清潔な水が出てくることに驚くミンニ。「12歳の私がこんなに問題をたくさん見ているのだから今度は大人が解決をする番」2025/05/18