出版社内容情報
突然、家業の5代目店主候補だった兄が消えた。シューズデザイナーを夢見ていた夏希は、靴職人として100年続く老舗靴店を継ぐべきか、悩める日々――。そこに、クラスのイヤミ男、佐野宗太がひょんなことから急接近!さて、夏希の運命は?進路に迷うYA世代に贈る職人物語。
内容説明
突然、家業の5代目店主候補だった兄が消えた。シューズデサイナーを夢見ていた夏希は、靴職人として100年続く老舗靴店を継ぐべきか、悩める日々―。そこに、クラスのイヤミ男、佐野宗太がひょんなことから急接近!さて、夏希の運命は…?
著者等紹介
佐藤まどか[サトウマドカ]
『水色の足ひれ』(第22回ニッサン童話と絵本のグランプリ大賞/BL出版)で作家デビュー。主な著書に『スーパーキッズ』(第28回うつのみや子ども賞)(講談社)、『アドリブ』(第60回日本児童文学者協会賞)(あすなろ書房)など。日本児童文学者協会会員、JBBY会員、季節風同人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
91
児童書。YA。靴職人の話▽4代続く靴工房は3階建ての古いレンガ造りの店舗に100年続く看板『靴ノ往来堂』を掲げている。古い看板なので右から左に書かれた文字をよむと「ノクツドウライオウ」と読めることからこのタイトル▽5代目になるはずだった兄が修行3年目にして出奔し、残された妹の木村夏希は自分が職人になるべきか悩んでいる。靴のデザインは好きだけど、まだ中学生の夏希は将来に対して不安を感じていた。店の常連の孫が、嫌味な同級生、佐野宗太だとわかり夏希はイラつく。宗太は職人見習いをしたいと言ってきた▽2023.4刊2024/05/24
chimako
73
【第70回青少年読書感想文全国コンクール中学校の部課題図書】佐藤まどかさんは『一○五度』で課題図書になっている作家。課題図書は全国の学校や公共図書館がほぼ100%蔵書にするから売れる。前から思ってたけど偏りがあるような気がするなぁ。……とこれは内容とは関係ないですが。このお話はオーダーメイドの靴屋を営む祖父と手仕事が好きな中学生の孫を中心に、家族と家業を描く。家を出ていった父親や突然外国にボランティアに行ってしまった兄、いけ好かないクラスメイト、地上げ屋等脇役も充実。読みやすい。以降はコメントへ2024/05/13
Willie the Wildcat
70
大量生産・大量消費、後継者問題、品質と価格のバランス、人間関係の希薄さなど、各種社会問題が土壌。主人公の脳裏をよぎる進路問題に、モノづくりを通して垣間見る悲喜こもごもの人間模様。様々な先入観が、1つずつ紐解かれて見えてくる真実・真理。時に苦しみから解放する、時に幸せにもなる”魔法”。直喩は靴だが、暗喩は相補性。共通項はもちろん「笑顔」、万能薬だなぁ。(回収されない)穣?宗太の両親?人生いろいろあるだろうが、大丈夫、大丈夫!って思わせてくれる〆。2024/07/17
花ママ
61
2024年青少年読書感想文全国コンクール課題図書、中学生。主人公中学2年生の夏希の家は、3階建て築100年の店舗と工房を持つ老舗のオーダーメイドの靴屋「靴の往来堂」 店主は4代目マエストロの祖父総一郎。夏希はこの祖父の影響を受けて、シューズデザイナーを目指している。ある日5代目を継ぐはずだった兄が突然いなくなる。更に土地開発会社から買収の話がきて店の存続に暗雲が。しかし、ある出来事をきっかけに店に賑わいが戻る。靴が仕上がるまでの工程の描写は興味深かった。夏希が祖父の技を継承していってくれるのだろう。 2024/06/02
ぶんこ
54
老舗のオーダーメイドの靴屋の中学生の孫娘が、跡取りの兄が逃げ出してしまい、自分が継ぐのかと悩む。靴のデザインは好きだけれど、自分はオーソドックスな靴よりも、華やかで可愛い靴が好き。悩みつつも祖父の仕事場の一隅に机を貰って過ごす。地上げに来た営業マンが、オーダーした靴を履いたことで祖父のファンになる話。ウエディングの靴が、アクシデントで履けなくなった時、祖父と孫が素敵に作り替えた話も好きでした。孫の同級生の宗太が靴職人を目指して祖父の元に通う。苦手だった宗太と接するうちに、理解しあえていく過程も面白い。2024/07/09