内容説明
吹雪の中、迷子になり、途方にくれる幼い兄妹。救いの手をさしのべたのは、1ぴきの詩人の犬だった。詩人の犬、テディが語る、小さな奇跡の物語。
著者等紹介
マクラクラン,パトリシア[マクラクラン,パトリシア] [MacLachlan,Patricia]
アメリカの児童文学作家。1938年、ワイオミング州に生まれる。コネティカット大学卒業後、1年ほど中学校教師をしたのちに執筆活動に入る。『のっぽのサラ』(徳間書店)で、ニューベリー賞を受賞
こだまともこ[コダマトモコ]
東京生まれ。出版社で雑誌の編集に携わったのち、児童文学の創作と翻訳を始める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ちゃちゃ
113
テディはアイリッシュ・ウルフハウンドという大型犬。人間の言葉をしゃべります。ただし、その言葉は詩人と子どもにしか聞こえません。……激しく吹雪く夕暮れ時、テディは湖岸で震える兄妹に出会う。いつ終わるとも知れない雪嵐。激しい風に小屋が揺れてもひとかたまりに体を寄せて眠れば怖くない。大きな喪失の哀しみも、守るべきものに出会うことで、優しさを内包した強さへと変容してゆく。愛する人を喪っても、遺された「宝石」に気づくことで、明日を信じて生きてゆける。犬と子どもたちの、そして私たちの心温まるグリーフケアの物語。2019/02/04
ぶち
100
悲しみと思いやりがつまった物語です。最愛の人との胸のつぶれるような別離、それに呼応するかのような優しさにあふれた新たな出会い。こんなに涙したことなんて今までの本であったかしら。100ページにも満たない物語ですが、優しい言葉に涙がとまりませんでした。 宝石を見つけたのは、犬のテディだけではありません。二人の兄弟も、二人の両親も...そして読んでいる私もです。宝石のような美しい言葉と詩、思いやりがたくさん散りばめられて、美しく輝いている物語でした。2019/01/13
ままこ
97
吹雪の中遭難した兄妹を救助した言葉が話せる犬のテディ。吹雪がおさまるまで過ごした丸太小屋での数日間。互いに支え合う彼らの様子が微笑ましい。喪失と出会いと奇跡。優しい想いが込められた心温まる作品。“アイリッシュ・ウルフハウンド”ネットで調べてみたけど思慮深げで優しそうな感じがテディのイメージ通りだった。エリーの切ない詩が心の琴線に触れた。2019/02/05
ちょろこ
94
心の雪も溶けそうな一冊。素敵な物語だった。吹雪の中、幼い兄妹を助けた犬のテディ。テディは詩人のシルバンさんと暮らしていた自分の家に兄妹を連れて行き暖炉を囲む。この出逢いとささやかで静かなひと時に温かさがぎゅっとつまっていた気がした。 宝石をひと粒か二粒…。シルバンさんが遺してくれた言葉。テディにとってはそれまでは原石のようだったその言葉。それが一気に光り輝く宝石へと変わった瞬間、心の雪も溶けそうななんとも言えない温かさに包まれた。2019/01/21
chimako
81
とても大切なものをなくした犬のテディが大切なものを見つけ、助け、守り、仲間になるまで。凍りつき透き通った空気が物語を包み込む。寒く震えるような夜は明け、やがて暖かな日差しがふる。短くてすぐに読めてしまう。どんな素敵なお話なのかはぜひこの本をてにとって確かめてほしい。犬の好きな人もそうでない人も。2019/01/18
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- 和書
- 犬のことばが聞こえたら