内容説明
うそは創作のはじまり。考える楽しみに満ちた19編。
目次
約束(星新一)
うそとパン(幸田文)
ウソと子供(柳田国男)
うそ話(井伏鱒二)
昭和二十二年の井伏さん(井上ひさし)
贋エチオピア皇帝の訪れ(種村季弘)
うそからまことが出てくる他一編(河合隼雄)
嘘について(串田孫一)
嘘について(加藤周一)
北風と太陽(米原万里)
正直者は馬鹿をみるか(池田晶子)
嘘(遠藤周作)
嘘(太宰治)
正直な夫(伊藤整)
悪女と善人(佐野洋子)
正直の徳に就いて(内田百〓(けん))
とぼけることの効用(吉田健一)
饅頭こわい―飯島知治(編)(桂三木助(演))
完全犯罪(小松左京)
著者等紹介
松田哲夫[マツダテツオ]
1947年、東京生まれ。筑摩書房の書籍編集者として「ちくま文庫」、「ちくま文学の森」、「ちくま日本文学全集」、「ちくまプリマー新書」を創刊する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
119
第2巻目は「嘘」に関する物語や評論が中心です。星さん以外はあまり読んだことがないのですが、小説では同じ題名の「嘘」という遠藤周作と太宰治が楽しめました。評論やエッセイでは、柳田國男、河合隼雄、串田孫一、加藤周一の作品が読みごたえがありました。桂三木助師匠の「饅頭こわい」も楽しいですね。2020/02/20
tom
21
ウソをつくのは悪いことと言われた育つのが普通の子ども。でも、私は、子育てを始めて、ずいぶん経ってから、ウソをつくのは大人に近づいた証拠だと気付いた。下品なウソと下品じゃないウソがあることも、そのころに気づいた。上手にウソをつくのは、とても大切なこと。当たり前のことなのだけど、上品と下品をきちんと切り分けるのは、なかなかむつかしい。そして、昔から、人々は、そのことを語っていた。そういう文章を集めた本。2021/06/27
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
16
哲学というと難しいことを言っているようですが、つまりは「考えること」だそうです。考えることをより楽しむための「うその楽しみ」だそうで、それでも?と思っていたら、最初は星新一さんの『約束』から始まり、うそにまつわる短編が19編続きます。普通に読んで哲学になっているかな? 約束(星新一)/ うそとパン(幸田文)/ ウソと子供(柳田国男)/ うそ話(井伏鱒二)/ 昭和二十二年の井伏さん(井上ひさし)/ 贋エチオピア皇帝の訪れ(種村季弘)/ うそからまことが出てくる他一編(河合隼雄)/ 嘘について(串田孫一)→2020/01/11
コーデ21
11
中学生までに読んでおきたい哲学シリーズ、2冊目。「中学生まで」と銘打ってるものの、大人でも充分楽しめるアンソロジーシリーズ! 全本読破を目指したいです^^ 嘘も方便とはよく言うけど、嘘がない世の中って空恐ろしいことになりそうな? 『100万回生きたねこ』の作者である佐野洋子さんの気っ風のいいエッセイにはウンウンと頷きっぱなし~(笑)2020/11/09
杏子
6
3巻目はうそに関する話。柳田国男の「ウソと子供」から、井伏鱒二、井上ひさしとくる流れが面白かった。ウソという語に、どんな意味がこめられているか。人をあざむく偽りとは違い、ウソと知りつつ、そのウソを楽しむ許容力がほしい。「嘘」という同じタイトルで書かれた小説、遠藤周作と太宰治の作品それぞれもよかった。全編に渡って、この巻は子どもに勧めても全く差し支えない。2013/04/02