内容説明
初期の作品「屈折率」から晩年の「雨ニモマケズ」にいたるまで、年代を追って変化していく賢治の詩風を味わってください。
目次
屈折率
くらかけの雪
日輪と太市
恋と病熱
春と修羅
雲の信号
報告
岩手山
高原
原体剣舞連
永訣の朝
山火
曠原淑女
馬
薤露青
母に言う
春
政治家
「あすこの田はねえ」
「もうはたらくな」
病床
眼にて言う
「雨ニモマケズ」
著者等紹介
萩原昌好[ハギワラマサヨシ]
1939年神奈川県に生まれる。東京教育大学、同大学院を卒業後、埼玉大学教授、十文字女子大学教授を経て、現在に至る。宮沢賢治学会イーハトーブセンター会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
102
このシリーズで私は「茨木のり子」さんの詩集を読んでいますが、宮沢賢治を読んでみようと手に取りました。小中学生向けに解説が書かれていてわかりやすくなっています。やはり科学的な分野に強い作家だったせいか宇宙などに関するものが結構多くあるようです。私は昔から知っている「春と修羅」が好きなのですがこの対象読者には難しいと思います。「政治家」という詩があるのを初めて知りました。2022/08/16
Y
38
色んな詩があった。大自然というイメージがあったけど、そればっかりじゃなかった。春なのに不穏な調子の詩があった。こんな風に世界を見ていた人なんだと思った。私はご機嫌な雰囲気の詩が好きだ。なぜなら思わず声に出して読んでみたくなったから。挿絵も素敵だ。有名な「雨ニモマケズ」は不意うちで胸を突っつかれたような衝撃。今の自分には特に響いた。宮沢賢治の詩の世界にもっと深く沈んでみたくなった。2015/08/02
紅香@新刊購入まで積読消化あと5冊⭐︎
38
あんなおそろしいみだれたそらからこの美しい雪がきたのだ『永訣の朝』より。。宮沢賢治こそ雪だと思う。裕福な家に生まれ、何の苦労もなく本当なら生きられたはず。でもこの美しい歌は舞ってはこなかっただろう。自ら暗い中に飛び込み、ほんとうのさいわいを求め、みんなと寄り添う生涯を選んだ。どこまでも透明で優しい宮沢賢治。苦難に踏みつけられても通り抜けた感情はそれでも真っ白な雪。澄みきって美しい。少しでも近づきたいと憧れる。一篇の詩に丁寧な解説。より一層深く知ることができた。ゴッホとの繋がりも分かって嬉しかった。2014/09/21
クラムボン
31
小中学生に向けて書かれた詩の入門編。そして1巻目が宮沢賢治。「雨ニモマケズ」「永訣の朝」はわかり易いが…大人でも難解な詩が多いのが賢治だ。これについては編者の萩原昌好も重々承知で、その上で敢えて読んでほしい…そうだ。ともあれ、まずは、詩集としての本のつくりが素晴らしい。子ども向けの本というと、大人が読むと不満があるものだが、それが無い。装幀も含めたブックデザインが優れているのだろう。内容は詩一篇ごとに解説がついている。「言葉の説明はほどほど、著者がどこに心を動かされたのか」に主眼を置いているのが良い。2021/09/19
べる
26
詩は「言葉の音楽」「言葉の絵画」で言葉の奥にリズムがあり、言葉を描く心の風景がある。詩を楽しむ方法は「きれいな言葉だな」「いい音楽聞いているみたい」と感じる詩を探してみること。自分だけの新しい感動を得たら音読して五感で味わうこと。宮沢賢治は自然の中に在るときが自分らしくいられた。自然の見え方で賢治のその時の心の持ちようが分かる。花巻地方の言葉で書かれた詩はストレートに気持ちが伝わってきた。妹トシの死は悲しいことだが、宇宙を形成する元素に立ち返ったのだと考えて悲しみを乗り越えた。透き通った風を感じられる。2020/03/07