内容説明
ひとり目の犠牲者は、仕立て屋のグリッグスさん。すさまじいスピードで、それは街をおおいつくした。夏の終わり、だれもが震えあがる「青い恐怖」が、ロンドンの下町ブロード街に、やってきた…!タイムリミットは4日間!街を守るため、13歳の少年イールが奔走する!ビクトリア女王治世下のロンドン。様々な病気の原因がまだ明らかになっていなかった時代に、状況証拠だけを重ね、「青い恐怖」と恐れられたコレラの真実に迫る「医学探偵」ジョン・スノウ博士。その助手を務める少年の視点から描かれた、友情、淡い初恋、悪党との対決もちりばめられたスリル満点の物語。
著者等紹介
ホプキンソン,デボラ[ホプキンソン,デボラ]
アメリカ、マサチューセッツ州ローウェルで三姉妹の長女として育つ。絵本の原作からフィクション、ノンフィクションまで幅広いジャンルで45冊以上の児童書を上梓。絵本の原作でゴールデン・カイト賞を二度受賞するなど、様々な受賞歴がある。オレゴン州ポートランド在住
千葉茂樹[チバシゲキ]
1959年北海道生まれ。国際基督教大学卒業後、児童書編集者を経て翻訳家に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
149
ヴィクトリア朝の英国で、これらが発生してその原因を突き止めていく、という少年と博士の物語で、史実に基づいているところもあるそうです。私は非常にいい本であると思いました。この時代というと、ホームズのベーカーストリート・イレギュラーズを思い出しこの主人公のような少年もいたのだろうと騒動しました。日本の昭和の頃の青雲の志を持った少年主人公が出てくる物語を思い出しました。いまの日本にはこのような本はあまりないのでしょうね。2016/06/06
NAO
76
【戌年に犬の本】ビクトリア朝のロンドンの下町。コレラの感染源がまだ特定されていなかった時代に、ある町の井戸を感染源と特定しコレラの蔓延を防いだスノウ博士の実話をもとにして描かれた児童書。スティーヴン・ジョンソンの『感染地図』に触発されて書かれたものだという。ディケンズ風の下町の描写は活き活きとした躍動感があり、けなげに生きる人々に襲いかかるコレラを必死にそれを食い止めようとする博士たちの描写もリアル。実在の人物と架空の人物がうまくミックスされ、違和感なく読めた。2018/10/23
mocha
69
1854年、ロンドンでコレラが大発生した。その原因究明に尽力した、スノウ博士の実際の記録を基とした物語。両親を亡くし浮浪児となったイールは、誰にも言えない秘密を抱えている。こころない人から散々な目にあわされながも、正義感を無くさないイール。やがてスノウ博士と出会い、蔓延するコレラを食い止めるために奮闘する。そして大団円。熱意と地道な研究こそが、正しい答えに辿り着く唯一の道。〈頑張れば、明るい未来がやって来る〉子どもの本は、安心して読めますね。2015/08/14
ぶんこ
62
ロンドンのブロード街から広まったコレラ。その史実に基づき、実在のスノウ博士の助手として、創作の孤児イールがコレラの原因を突き止めていく。ロンドンの衛生状態の悪さに驚き、日本ではいつの時代かと調べると江戸時代末期でした。一家の主が亡くなると、遺された家族が路頭に迷う。13歳のイールが弟を悪党の義父から守る為に頑張る姿は健気。弟だけではなく、周囲の人にも優しい。なけなしのお金を、近所の幼い子にご馳走してあげたりと、どんなに悲惨な状況でも心根はまっすぐ。最後には弟と一緒に暮らせるようになってホッとしました。2016/09/29
はる
56
ハラハラする展開に一気読み。孤児の少年イールは貧しくても何とか生活していましたが、罠に嵌められ職を失ってしまいます。そんなとき,街にコレラが爆発的に流行します。彼はスノウ博士や友人の少女フローリーと共にコレラの感染経路を突き止めようと奮闘します。史実を織り交ぜながら進むストーリーはスピーディで読みやすい。面白かったです。2016/09/17