内容説明
残されたのは、少女の叫びが記された一冊の日記帳。それは、父の手によって出版され、やがて世界中で読まれるようになった。『アンネの日記』は、どのようにして書かれたのか?アンネの足跡をアンジェラ・バレットの絵とともにたどる伝記絵本。
著者等紹介
プール,ジョゼフィーン[プール,ジョゼフィーン][Poole,Josephine]
1933年、ロンドンに生まれる。BBCラジオ放送勤務の後、1961年に最初の作品A Dream in the Houseを発表。その後、ティーンエイジャー向けの作品、テレビドラマの脚本などを手がけ、高い評価を受ける
バレット,アンジェラ[バレット,アンジェラ][Barrett,Angela]
1955年、イギリス・エセックス州に生まれる。王立美術大学など3つの大学でイラストレーションを学ぶ。在学中からイラストの仕事を始め、高い評価を得る
片岡しのぶ[カタオカシノブ]
和歌山生まれの岩手育ち。国際基督教大学教養学部卒業。翻訳工房パディントン&コンパニイを夫と共同主宰
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みゃーこ
75
ユダヤ人排斥の経緯、社会的背景が大人になって改めて読み返してみるとよくわかり、社会の巻き添えにあったアンネという少女の残してくれたものの大きさに気づく。2013/07/23
モリー
59
喜びや、悲しみの表情が抑制的に描かれており、そのことが、アンネ・フランクとその家族を取り巻く当時の重苦しい空気を伝えています。また、抑制された表情は、感情を押し殺し内面に抑え込まなければ生き延びられなかった、当時のユダヤ人たちの状況をよく表しているように感じました。「窓の下は戦争。見上げる空は、平和で美しい。でも、真っ黒いくものかたまりに閉じ込められて、わたしたちは、上にも下にも行けないの。雲は突き破ることのできない壁のよう。その壁がわたしたちをおしつぶそうとしています。」(アンネ・フランクの日記より)2020/03/14
かおりんご
55
読み聞かせ(319)先日、アウシュビッツ強制収容所の話を聞いたので、読み聞かせました。語の説明や、状況を補って読んだので、時間がかかりすぎました・・・アンネの日記だから、強制収容所の話はなく、あまりピンと来なかったかもしれません。2015/02/05
たまきら
43
細部まで丁寧に描き込まれた、不思議な静けさを持つ絵が胸に迫ってきます。虐げられる人々のうつろな目。猫好きには猫との別れの絵も辛かったです。広いお部屋にあるものを、あきらめなければいけない女の子の気持ち。親の都合で渡米する際、一番愛した猫を伯母に譲らなければいけなかった16歳の私は世界中が私を裏切っているように感じたけれど、アンネはそれからも多くのものを奪われ続けたんだものね…。ああ、なぜ戦争などしなければいけないのだろう。世界は現代のアンネを生み出し続けていくのでしょうか…。2024/02/27
天の川
30
日記の文章は冒頭の1ページに。彼女が息を潜めて隠れ家で過ごさねばならなくなるに至る、当時のヨーロッパの閉塞的な状況、ユダヤ人差別の風潮の高まりが重点的に描かれる。とにもかくにも、アンジェラ・バレットの画力に圧倒される。表紙にもなっているダビデの星を胸につけたアンネたちは私たちに様々な想いを訴えかける。差別や戦争を容認する空気がしのび寄ってくることに私たちは敏感にならねば…と警告されているようにも思える。2014/03/18