出版社内容情報
舞台は12世紀後半の韓国。家も親もなく、橋の下で暮らす少年モギは毎日の食べ物をどうやって調達するかだけを考えて生きていた。ささやかな楽しみは、村の焼きもの師、ミンがろくろをまわす姿をこっそり眺めること。そんなモギがあるきっかけからミンの仕事を手伝うことになり、モギの運命も大きく変わっていく・・・。 小学校高学年~一般
内容説明
橋の下で暮らす少年の運命を変えたものは、あやしいまでに美しい高麗青磁の輝きだった。12世紀後半の韓国、青磁の村を舞台に、名焼きもの師の見習いとなった少年の物語。2002年度ニューベリー賞受賞作。
著者等紹介
パーク,リンダ・スー[パーク,リンダスー][Park,Linda Sue]
1960年、アメリカ、イリノイ州に生まれる。スタンフォード大学英語科卒業。1999年に最初の作品Seesaw Girlを出版。第3作目にあたる『モギ―ちいさな焼きもの師』で2002年度ニューベリー賞を受賞。主として韓国を舞台とする作品を書いている。現在、夫、二人の子どもとともにニューヨーク州に住む
片岡しのぶ[カタオカシノブ]
和歌山生まれの岩手育ち。国際基督教大学教養学部卒業。翻訳工房パディントン&コンパニイを夫と共同主宰
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
77
YA。韓国(高麗時代)みなしごの少年モギは足の不自由なトゥルミじいさんと橋の下に住んでいた。モギは美しい高麗青磁に魅せられ、つい手に取ってしまったところを親方ミンに見つかり取り落としてしまう。弁償のかわりに労働を命じられたモギは焼きもの師の仕事ができると心躍らすが、任せられたのは薪取りだった。初めての仕事にちいさなモギは心折れそうになるが懸命に頑張る。そんな中、都から、王宮お抱えの焼きもの師を選ぶための使いが来る。親方は御用達になるために最高の作品を仕上げるが…▽とてもいい話だった。良本!読みやすい。2020/05/04
NAO
52
12世紀後半、高麗時代の朝鮮。舞台である高麗時代の青磁の二大産地のひとつ扶安の村チュルポを舞台に、孤児モギが村一番の腕前の陶工ミンの下働きとなり、陶工となるまでの成長を描いた児童書。王様に購入して頂こうと良い作品作りに取り組む陶工の矜持、モギと彼を育てた老人トゥルミとの繋がりなど、いやなことがほとんど描かれていない、優しい物語。2022/08/23
ヤマセミ
16
12世紀韓国の青磁の村が舞台。なんとなく装丁がいいなと思って、図書館の児童書コーナーで見つけて読んでみたら、予想外の爽やかな読後感だった。哀しい話でもあるけれど、人の温かさや、どん底でもあきらめない勇気や、学ぶこと極めることの尊さが、全然説教臭くなく、静かな信念をもって語られている。少年モギは、とても苦労したけれども、愛の深い人々と、素晴らしい焼き物の世界と出会えて、そういうのを幸せと言うのだろうなあ。2016/08/24
マッピー
15
モギには両親はいない。橋の下に住むトゥルミじいさんに育ててもらった。ある時モギを襲った試練は、彼を絶望のどん底に落とす。そんなときトゥルミじいさんの言葉がよみがえる。「死ぬばっかりが真の勇気ではないぞ」そこからの怒涛の展開はもちろん感動的なのだけど、この作品は、その前段の何気ない日常が実にいい。モギとトゥルミじいさんの、貧しいけれども思いやりにあふれ笑いの絶えない生活。職人の厳しさを体現するミン親方と、優しい奥様。あえて言葉にしない思いやりや、言葉とは裏腹の優しさ。地味ながら、とても味わい深い作品だった。2018/11/19
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
13
第50回青少年読書感想文コンクール課題図書 中学生 12世紀後半の韓国が舞台。青磁を作りたいという夢に向かって努力を続け、どんな時も諦めないモギのおはなし。韓国の国宝に、作り手の分からない12世紀の青磁の梅瓶(めいびん)があり、そこから想像したお話だそうです。2018/10/04