出版社内容情報
2000年3月に亡くなった人気絵本作家クーニーの最後の作品。木の声を聴き、風のうたを編む、かご作り職人の美しい心を描いた絵本。 小学校中学年~中学生
内容説明
今から100年以上前、アメリカのニューヨーク州ハドソンからそれほど遠くない山あいの地方に、かごをつくつて生計をたてる人たちがいました。じょうぶで美しいかごをつくるための技術としずかな情熱は、長い間、父から子へ、こんなふうに伝えられていたのです。木の声をきき、風の歌を編む、かごつくり職人の「こころ」を描いた絵本。バーバラ・クーニー、最後の作品。
著者等紹介
レイ,メアリー・リン[Ray,Mary Lyn]
作家であり環境保護活動家。1946年、ルイジアナ州に生まれる。デラウェア大学卒業。ヴィンタートゥール博物館の学芸員時代にアメリカの手工芸について研究。著書に「Pumpkins」「Shaker Boy」など。現在、ニューハンプシャー州の古い農場に住む
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
107
【月の絵本】ですぐに思い浮かぶのが、バーバラ・クーニーさんの情緒的な絵が印象的なこの本。100年以上昔、ニューヨーク州に住む《山の民》の暮らしを描いた本です。満月の夜になると山から街にやってきて、当時でさえ「昔ながらの」と呼ばれた製法で作ったかごを売って歩く人々。街の人間からは「得体の知れない連中」と言われても、山の民たちは「風が教えてくれた」かご作りに誇りを持っていました。今は喪われてしまったアメリカのささやかな歴史のひとコマ。2015/09/08
ふう
81
昨日読んだ「かぜが~」と同じように、絵がとてもきれいで、短い話の中に大切なことがいくつも込められた作品でした。自然に囲まれて自然の恵みを受けながら織りなす暮らし。手仕事をする人々の重い言葉。子どもの成長を見守る大人たちのやさしい眼差し。そして、町の人々の浅はかな悪意…。風の声に耳をすませて、じっと見つめ、じっと考えて、少年は強く賢い大人になっていきました。豊かな心、豊かな暮らしとは何だろうと考えさせられます。2018/03/08
greenish 🌿
81
【砂漠でみつけた一冊の絵本より】豊かな森でかごをつくってハドソンに売りに行く人々がいた。9歳になった「ぼく」は、街の人々に蔑まれている現実を知る。木の声をきき、風の歌を編む、かごつくり職人の「こころ」を描く ---クーニーがスポンジ画法で描く緑の葉が、なんとも表情豊かです。 現実を知った少年ですが、とうさんやその仲間たちから、仕事に・自分自身に誇りを持つことの大切さを学んでいきます。《とうさんのように、風が選んでくれた人になりたい》。親から子へ《いかに生きるか》を受け継いでいけるなんて素敵なことですね。2014/02/18
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
75
100年以上昔、ニューヨーク州の山間にかご作りで生計を立てている人々がいました。月に一度、満月の夜に山から街に降りていき、かごを売って歩くのです。トネリコ、オーク、ヒッコリー。昔からの製法で作られるかごは特別なものでした。街の住民には山の民は得体の知れない存在で時折、小さな争いがありました。それでも山の民たちは「風が教えてくれた」かご作りに誇りを持っていました。今は喪われてしまったアメリカのささやかな歴史のひとコマ。『ルピナスさん』『にぐるまひいて』の作者バーバラ・クーニーさんが描く絵がロマンチックです。2014/07/09
Willie the Wildcat
75
風評による揺れる少年の心。”風”は様々なものを運ぶ。心を研ぎ澄ますことで通じる。物事の本質とは何か?寡黙な職人の父は、少年の成長を温かく見守る。少年の心の葛藤、そして気づき。この気づきをゆっくり、そして静かに描写している点が印象深い。絵も油絵のような重厚感。「風と会話する夜の森」のシーンが心に響く。少年の”気づき”を共に喜ぶことができる。2013/02/03
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