内容説明
ハリドンが安心できるのは、曲芸をしているときと“船長”と二人でいるときだけだった。しかし、その“船長”が…。冷たい空気が、秋と港のにおいを運んでくる。「他人を信用しないこと」を信条に生きてきた少年は、たったひとりの友をさがしに、夜の街へととびだした。北の港町を舞台にくりひろげられるだれも知らない奇妙な一夜。人を信じることを知らない少年、曲芸師ハリドンの物語。スウェーデンからやってきた現代のおとぎばなし。
著者等紹介
ヴェゲリウス,ヤコブ[ヴェゲリウス,ヤコブ][Wegelius,Jakob]
1966年、スウェーデン第2の都市である港町ヨーテボルイに生まれる。ストックホルムにある国立芸術工芸デザイン大学(コンストファック)で学ぶ。1994年、作家デビュー。ストックホルム在住
菱木晃子[ヒシキアキラコ]
1960年、東京生まれ。慶應義塾大学卒業。現在、北欧を中心に児童書の翻訳を多数手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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新地学@児童書病発動中
97
不思議な味わいを持つスウェーデンの児童文学。曲芸師をすることで生計を立てているハリドンは、孤独な少年。劇場で働いている時に知り合った「船長」だけが心を許せる人物だ。ある冬の夜に船長の姿が見えなくなり、ハリドンは不安な気持ちで彼を探し始める……。孤独な登場人物達を通して、北欧の夜の冷たさと寂しさが読者に伝わってくる。読みながら、雪の降る町を船長を探すためにさまようハリドンのことを応援したくなった。結末はほっとできる内容で読者の胸に小さな明かりがともる。2018/06/21
ume 改め saryo
14
『 サリー・ジョーンズの伝説 』で興味を持ち、2作目のこの作品へ。 サリー・・・を「80日 世界一周」みたいに、忙しい ジェットコースターのような展開だったが、今回は 観覧車的な作品に感じました。 ラストの締め方が素敵ですね(^^)2013/09/10
霞草
8
いつも自分の殻に閉じこもり、誰に対しても心を開こうとはせず、他人は信用しないと決めているハリドン。そうなってしまったのは辛い過去のせいだけど、真っ直ぐに自分の気持ちを伝える犬に怒鳴る彼の姿に戸惑いや悲しみを感じた。大切な人を捜すハリドンの不安が伝わってきてこっちまでハラハラして、犬の活躍にはドキドキ。希望を見つけられたハリドンはきっと昔よりも自分らしく生きていけるはず。物語の世界にぴったりなイラスト、冬の夜を一輪車で走るハリドンとそれを追い掛ける小さな犬がとても印象に残った一冊でした。2011/09/21
ワッピー
6
北の街で、曲芸師として生活するハリドン。同居する「船長」をこよなく好いていて、毎晩帰っては話をするのが楽しみ。しかし、ある寒い晩、曲芸を終えて帰ってみると船長の料理と置手紙が・・・。しかし、夜中に目覚めてみると船長の姿は相変わらずなく、ハリドンは心配になって、寒い夜の街へ出ていく。いつもの公園で、船長の帽子を見つけたハリドンに必死でついてくる野良犬。知らない世界に踏み入ったハリドンを怪しい男が、警官が追ってくる。子供の目線で世界を見つつ、苦い体験の多いハリドンを迎える「夜明けのやさしさ」にホッと一息。2018/07/01
ずんだ☆
5
〚★★★★☆〛いつもなら何とも無いことが、急に不安になる。 大切な人がいなくなる。周りが見えなくなる。でも、一歩引いてみよう。大丈夫つながってる。いつもと同じ日々が待っている。2015/10/05