出版社内容情報
絵本版『木を植えた男』の文芸愛蔵版です。文芸版にふさわしい訳文と、美しい絵が新たな感動をよびおこす。 中学生~一般
内容説明
たった一人で、荒れはてた地を緑の森によみがえらせた男の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chimako
75
【同じ誕生日の作家の作品を読む】イベントのおかげで読むことのできた良書である。若者が荒野を歩き続け水を飲ませてもらったのは 世捨て人のように暮らす独りの男。その男はどんぐりを丁寧に念入りに選別する。明くる日、男は鉄の棒で穴をあけどんぐりを蒔いていく。果てしない作業。三年前から10万個のどんぐりを植えた。内2万本の芽が出た。1万本は枯れるだろう。それでも残り1万本が根付くことになる。家族を亡くした男が見いだしたささやかな喜びは不毛の土地に生命の息吹をよみがえらせること……そこから先は是非とも自分の目で。2015/09/28
帽子を編みます
54
何回目になるでしょうか?何回でも読みたい本です。木をうえた男の話、荒れた土地にどんぐりをまき育てる男、彼の成し遂げた仕事。私には、風の音が聞こえてくるのです。荒れた風が砂ぼこりを巻き上げていた土地、木が育った土地からは柔らかい風が吹き始め、偉大な森からは渦巻くように流れる風。たった一人の男が、これほどのことを成し遂げられる、大きな感動の物語です。2021/03/22
Midori Nozawa
20
友達がに「木を植えた人」を貸したら、お返しにこの本を貸してくださいました。原作は同じですが、訳者が違います。挿絵も入っていて、この本も良かったです。ジャン・ジオノは著作権を放棄したために複数の訳本がでたのでしょう。こつこつと目立たないことをやり続ける生き方は誰にでもできることではありません。かかりつけの内科のお医者さんはいつも同じ注意を私に話し、血圧、心電図など同じことを続けるのです。ちょっと木を植えた男に共通しています。歯医者さんも同じです。基本に忠実に自分の努めを続けていく姿が大切に思えました。2019/05/13
Cinejazz
14
南フランス・プロバンスの荒果てた丘陵地帯に、ドングリの実を丹念に植え込み、木を植えることに熱情をそそぎ、二十世紀の二度の大戦を乗り越えた、寡黙なひとりの男(エルゼア-ル・ブフィエ)の物語です。荒寥として見捨てられていた土地が、見違えるほど緑豊かな木々に覆われるようになり、村々が再興されるまでを、名も無い農夫の弛まぬ不屈の生涯を讃え、人間と大地との融合を謳った叙事詩であります。 2021/07/25
あられ
13
図書館でみかけて借りて読む。持っている気がするのだが、どこにあるのかわからない。(笑)。。。1本なら植えられるかもしれないが、毎日、何本も植えて、植えて、植え続けて、やがて。。。という長い長い時間の物語。すぐに読める長さだけれど、ブフィエ氏の長い長い一生。本の向こうにいくつもの森がみえるような本。すばらしい。2018/01/01