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出版社内容情報
いまから30余年前、隠蔽されていた「地上の楽園」北朝鮮の矛盾と惨状を目の当たりにし、あえて告発した嚆矢の書を復刻。告発を誹謗、圧力で封じ込めようとした総連との確執も記すことで、周辺の問題群を現出させる。 解説・萩原 遼
…今の北朝鮮労働党とその手先朝総聯の愚民政策は頂点に達した。彼らは己に迎合し忠実に盲従する者をもって愛国者とし、…彼らの矛盾、誤りを指摘する者はことごとく反動・スパイの汚名を冠し、粛清の極刑に処す。
私はただ帰国者の安否と幸福を願う一片の正義感から、在日同胞に祖国の恐るべき独裁政治の真実と、残酷非人間的な社会体制を訴えつづけてきた。私に酬われたものはすべていまわしい汚名だけであった。しかし私は自分の良心を偽ってまで彼らの欺瞞工作に与したくはない。
私は生ある限り彼らの欺瞞を指摘しつづけるだろう。
私はひたすら真の人間でありたいのだ。
北朝鮮の実態ばかりでなく、北朝鮮帰国事業を遂行していた朝鮮総聯の当時の呆れた行状を、筆者が決死の思いで綴った告発の書である。そしてそれはこの本が復刻されたときも変わっていなかった。……
内容説明
30余年前の正義の絶叫になぜ耳を貸さなかったのか。北朝鮮の深層を暴露した嚆矢の本。
目次
第1部 北朝鮮の真相―自由なき竹のカーテンの内幕
第2部 朝総連の残酷な本質―四十万の組織を独裁する韓徳銖
第3部 北朝鮮からの手紙
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
牛タン
2
朝鮮総連の中で中心的立場で活動していた人が、訪朝や総連内部での対立を通して、立場を転換、北朝鮮や朝鮮総連を批判するために書いた本2019/02/10
山葵
1
1962年に出版された「楽園の夢破れて」の復刻版。帰国事業が始まった後、初めて出版された北朝鮮の「真相」を告発する書籍である。著者は総連の幹部であり、帰国事業を推進していた人物である。また自分自身もいずれ「帰国」しようと考えていたが、1960年、2度目の祖国訪問の際に北朝鮮の異常性に気がつく。この時代、北朝鮮を訪問して派手に接待された日本人が北朝鮮を褒めそやす記事や本を書いていた頃だ。彼は祖国の「真相」を告発したことにより、総連から疎まれ子とも絶縁することになったという。2021/08/07
HA
1
レイシストが保守派に強い影響力を持ち始めた頃、「かつて、こんなに偉大な在日が居た!」と紹介している保守系の番組があった。紹介されていたのが「関貴星」だった。2015/03/10
HA
1
「かつて、心から尊敬出来る在日が居た」 私はこの本「楽園の夢破れて」(復刻版97年:萩原遼氏解説)を読み、そう思った。 作者の関貴星氏は大正生まれの在日朝鮮人だ。何故私が、彼を心から尊敬出来るのか。それは彼が自分の理想や主義を捨ててでも、人として果たさなければならない使命に生きた、至誠の人だからだ。 この本は60年代という総連が最大の力を行使した時代に、北朝鮮の同胞や日本人妻を救うため、命を賭して書かれた告発本だ。 彼の生き様は、人種や主義も関係なく、私を魅了し、そして深い悲しみと憧れを抱かせた。2013/11/17