出版社内容情報
赤塚不二夫、ちばてつや、森田拳次、古谷三敏、北見けんいち達旧満州育ちの漫画家9人による画文集。戦争の悲惨さと、時代に翻弄されながらも逞しくしたたかに生きた人々の姿を、少年の眼を通して描いた。マスコミ各紙誌絶賛! 中国残留孤児支援チャリティー絵葉書も発売中
政治家や運動家が何をどう言おうと、戦争はダメなんです。戦争をして真っ先に迷惑を被るのは兵卒さんとそして一般人なのです。政治家は一番最後。
この本は、子どもの目から見た敗戦と、抑留、そして引揚を綴っています。ユーモラスに書いてはいますが、その後ろには抜き難い戦争の刃が刺さっているのです。必読!です。
目次
祖国はなれて
「メーファーズ」―これでいいのだ!!
中国原体験の光と影
ぼくの満州放浪記
ぼくの満引き(満州引き揚げ)物語
記憶の糸をたぐり寄せて
わが故郷、大連
豆チョロさんの戦争体験記
上海に生きて
座談会 ボクの満州・中国
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かっぱ
43
【図書館】満州・中国からの引き揚げ組み漫画家たちによる体験談集。唯一、子供ではなく大人(引き揚げ時に29歳)だったのは上田トシコさんのみ。どこまでも続くコーリャン畑、地平線に沈む赤く大きな太陽。引き揚げ体験は過酷を極めるけど、大陸育ち特有の大らかさ(「メーファーズ」)が共通項。北見さんの父親はたった5日間軍服を着ただけで5年間のシベリア抑留。食べ物関係の仕事をしていたのでパン工場勤務になり食料に困ることが無く生き延びられた。高井さんの一歩間違えれば中国残留孤児になっていたかも知れないという言葉は切実。2019/05/27
かおりんご
29
著者自身も書かれていますが、もっと早い時期に本にしていただきたかったです。有名な漫画家さんたちの中にも、満州からの引揚者がこんなにいるとは!それほど、当時の日本人にとっては国土の一部だったのですね。引き揚げは、大変だったと聞きます。ご存命なうちに、色々と書き記しておいて欲しいです。2019/06/20
ナハチガル
14
貴重な体験談に個性豊かなイラストが添えられ、読みごたえがあった。引揚者には独特のおおらかさがある、という話が何度か出て来るように、大陸で子供時代を過ごした人には、島国育ちにはない要素が何かしらあるのかもしれない。たくさんの死体を目にしたり、手榴弾の使い方を教えられたり、飢えと死の恐怖にさらされたり、帰国後も差別やいじめに遭いながらも、皆さんどこかスコンと抜けているのだ。残留孤児を描いた『大地の子』の重さとは対照的だ。欲を言えば、せっかく漫画家さんが集まっているので、せめてエッセイ漫画にしてほしかった。A。2022/02/10
kenitirokikuti
13
図書館にて。1995年刊行。上田トシコだけ大正6年(1917)と年長だが、その他はみな昭和10年代前半の生まれ。赤塚北見石子順はS10、ちばS14。座談会にて本題と関係ない手塚の話題が出るのは亡くなってまだそんなに経ってないからだな。この面々が引き揚げについて書くのはこれが初めてだったそうな。80年代前半のコロコロで、畑正憲・川崎のぼる『ムツゴロウが征く』で満洲の話をやってたので、自分は意外に感じたのだけど、第1回「残留孤児訪日調査団」が1981年。あの頃の話だな。2019/08/28
スゲ子
11
ちばてつやも、赤塚不二夫も、「BARレモンハート」の人も、「釣りバカ日誌」の人も、「山口六平太」の人も満州育ちだったんだ!文とイラスト(これがまた皆さんいい絵)で語られる少年時代。広大な大陸の景色、気風、食べもの、中国の子どもとのケンカや遊び、命がけの引き揚げ、失われた故郷…きっとそれらすべてが彼らの創作者としての糧になったんだなぁ。でも1番面白かったのは、1人「ボク」ではない上田トシコさん!終戦時すでに28才!親元でヌクヌクしてたお嬢さんなのに、終戦を機にどんどんたくましくなっていく!2017/01/17