出版社内容情報
〈わたし〉とは、仮面である。
〈素顔〉こそ、仮面である。
社会を泳ぎわたるために「素顔」を覆い隠し、
偽りの「仮面」を付けて生きるという幻想。
うわべの自己同一性を悲壮な覚悟で抱えた現代人に
〈わたし〉の自在な変身可能性を呼びかける
スリリングな思索の試み。
写真:石川直樹
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造本設計:松本久木(松本工房)
リバーシブルカバーの豪華特装版!
【目次】
仮面のはじまり
Ⅰ 顔、面、ペルソナ ──和辻哲郎に導かれて
Ⅱ 〈うしろ向きに未来に入る〉こと──戸井田道三と能面
Ⅲ 諷刺と蜚語の王国 ──金芝河における仮面の叛乱
Ⅳ 他者性の乱舞 ──メキシコと仮面
Ⅴ ヴァンクーヴァー島への小さな旅 ──レヴィ?ストロース『仮面の道』を傍らに
Ⅵ 恐怖と仮面 ──ポーからボルヘスへ
Ⅶ 苦く甘美な喧噪 ──ジェームズ・アンソールと仮面の祝祭
Ⅷ 哲学者の夢の涯てに ──プルチネッラと永遠の生
Ⅸ 隠喩としての仮面 ──ファノン、セゼール、ボールドウィン
Ⅹ 仮面の解剖学 ──安部公房における〈顔の喪失〉
? ポスト・フェストゥムの仮面 ──セリエント、吉岡実、ベンヤミン
? 死者の召喚 ──三つの仮面劇をめぐって
ⅩⅢ もう一つのペルソナ ──〈仮面の政治学〉の彼方へ
仮面の終わり