出版社内容情報
〈わたし〉とは、仮面である。
〈素顔〉こそ、仮面である。
社会を泳ぎわたるために「素顔」を覆い隠し、
偽りの「仮面」を付けて生きるという幻想。
うわべの自己同一性を悲壮な覚悟で抱えた現代人に
〈わたし〉の自在な変身可能性を呼びかける
スリリングな思索の試み。
写真:石川直樹
***
造本設計:松本久木(松本工房)
リバーシブルカバーの豪華特装版!
【目次】
仮面のはじまり
Ⅰ 顔、面、ペルソナ ──和辻哲郎に導かれて
Ⅱ 〈うしろ向きに未来に入る〉こと──戸井田道三と能面
Ⅲ 諷刺と蜚語の王国 ──金芝河における仮面の叛乱
Ⅳ 他者性の乱舞 ──メキシコと仮面
Ⅴ ヴァンクーヴァー島への小さな旅 ──レヴィ?ストロース『仮面の道』を傍らに
Ⅵ 恐怖と仮面 ──ポーからボルヘスへ
Ⅶ 苦く甘美な喧噪 ──ジェームズ・アンソールと仮面の祝祭
Ⅷ 哲学者の夢の涯てに ──プルチネッラと永遠の生
Ⅸ 隠喩としての仮面 ──ファノン、セゼール、ボールドウィン
Ⅹ 仮面の解剖学 ──安部公房における〈顔の喪失〉
? ポスト・フェストゥムの仮面 ──セリエント、吉岡実、ベンヤミン
? 死者の召喚 ──三つの仮面劇をめぐって
ⅩⅢ もう一つのペルソナ ──〈仮面の政治学〉の彼方へ
仮面の終わり
内容説明
〈仮面〉とは、世界と自己とのあわいにおいて曖昧な〈私‐他者〉を重層的に形づくる文化的な仕掛けであった。日本人は古来、素顔の奥を直感的に見通す、不思議な視線を持ちあわせていた。本書は、〈顔〉が表層の記号と化し、〈仮面〉が自己偽装の道具と成り果てた時代に世界の仮面文化、芸能、文学、絵画、映画を渉猟しながら、人間の生のあり方を根底から問い直そうとする、「革命の書」である。
目次
1 顔、面、ペルソナ 和辻哲郎に導かれて
2 〈うしろ向きに未来に入る〉こと 戸井田道三と能面
3 諷刺と蜚語の王国 金芝河における仮面の叛乱
4 他者性の乱舞 メキシコと仮面
5 ヴァンクーヴァー島への小さな旅 レヴィ=ストロース『仮面の道』を傍らに
6 恐怖と仮面 ポーからボルヘスへ
7 苦く甘美な喧噪 ジェームズ・アンソールと仮面の祝祭
8 哲学者の夢の涯てに プルチネッラと永遠の生
9 隠喩としての仮面 ファノン、セゼール、ボールドウィン
10 仮面の解剖学 安部公房における〈顔の喪失〉
11 ポスト・フェストゥムの仮面 セリエント、吉岡実、ベンヤミン
12 死者の召喚 三つの仮面劇をめぐって
13 もう一つのペルソナ 〈仮面の政治学〉の彼方へ
著者等紹介
今福龍太[イマフクリュウタ]
1955年東京生まれ。文化人類学者・批評家。東京外国語大学名誉教授。メキシコ、カリブ海、アメリカ南西部、ブラジル、奄美・沖縄群島などで広範なフィールドワークを行う。国内外の大学で教鞭をとり、サンパウロ大学客員教授、サンパウロ・カトリック大学客員教授、台湾・淡江大学客座教授などを歴任。2002年より奄美・沖縄・台湾を結ぶ遊動型の野外学舎〈奄美自由大学〉を主宰し、唄者・吟遊詩人としても活動。主な著書に『ヘンリー・ソロー 野生の学舎』(読売文学賞受賞)(みすず書房)など多数
石川直樹[イシカワナオキ]
1977年東京生まれ。写真家・作家。東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。人類学、民俗学などの領域に関心を持ち、辺境から都市まであらゆる場所を旅しながら、作品を発表し続けている。2008年『NEW DIMENSION』『POLAR』により日本写真協会賞新人賞、講談社出版文化賞。2011年『CORONA』により土門拳賞。2020年『EVEREST』『まれびと』により日本写真協会賞作家賞。2023年東川賞特別作家賞。著書に、開高健ノンフィクション賞を受賞した『最後の冒険家』(集英社)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。