出版社内容情報
[推薦]森田真生(独立研究者)&ドミニク・チェン(情報学研究者)
[巻末漫画]五十嵐大介(『海獣の子供』『リトル・フォレスト』)
妖怪、山人、天狗、ザシキワラシ…
この世ならざる気配に満ちた遠野には、
いまも見えないものたちの世界がある。
その扉をひらいたのが〝シシ踊り〟だった。
***
東京の広告代理店にいた1人の若者は、
『遠野物語』を10ページで挫折しながらも
導かれるようにして遠野に移住した。
その地では、人も動物も幽霊も区別しない。
遠野に息づく文化と物語に慄く「よそ者」は、
やがてそれらに魅了され、その深みに引きずり込まれていく。
そして、100年以上前に民俗学者・柳田国男を戦慄させた
「張山しし踊り」との運命的な出会い。
牛の角、龍の鼻、鹿の目を持つ霊獣シシ。
その装束をかぶって舞うシシ踊り。
それは苦難の歴史を抱える地で華ひらいた「鎮魂のための芸能」であった。
シシの担い手となって踊る日々が、
解き明かしていく『遠野物語』に秘められた謎。
いつしか周囲に生まれる、奇跡のような出会いと物語--
民俗学をベースとした様々な創作活動や文化振興を行い、
いま各界から注目を集める若きプロデューサーが
10年にわたるリサーチと実践、
そして研究者との協業をもとに熱量を込めて書き下ろした、
渾身のデビュー作。
この本を読まずして遠野は語れない。
民俗学の聖地に新時代をもたらす物語がいま始まる!
[解題&用語解説:桜井祐(九州産業大学准教授)]
[造本設計:吉岡秀典(セプテンバーカウボーイ)
【目次】
内容説明
『遠野物語』を10ページで挫折した著者は東京の広告代理店を辞め、導かれるように遠野に移住した。その地でひらかれていく遠野/物語の魅力、そして、伝統芸能・シシ踊りとの運命的な邂逅。デジタル偏重の時代に、身体を通してシシを踊る日々はいつしか『遠野物語』が秘めた謎を解き明かしていく。この世ならざるものの気配に満ちた民俗学の聖地に新時代を切りひらく話題のプロデューサー、初の著書。
目次
第一章 『遠野物語』の先へ(やっぱり遠野行くのやめます;俺じゃなくてよくね?―広告代理店の日々 ほか)
第二章 シシ踊り(まちが沸き立つ“遠野まつり”;もう一つの世界、小盆地宇宙 ほか)
第三章 コロナとお盆(目には見えないものたち;お盆がつないだ縁 ほか)
第四章 内なる野生(「ししの館」と青きシシ;シシとピアス ほか)
第五章 魂と共に生きる(本当の弔い;イワナとシシ ほか)
著者等紹介
富川岳[トミカワガク]
1987年、新潟県長岡市生まれ。シシ/作家。都内の広告会社にプロデューサーとして勤務した後、2016年に岩手県遠野市へ移住。『遠野物語』に戦慄して以来、民俗学をベースとした様々な創作活動や文化振興を行う。2018年から張山しし踊り(遠野郷早池峰しし踊り張山保存会)に所属。郷土芸能「シシ踊り」に傾倒する日々を送る。株式会社富川屋代表、遠野市観光協会理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。