出版社内容情報
《村井理子さん、推薦!》
ずっと苦しかった。泣きたい気分だった。
そんな私の気持ちを受け止めてくれた一冊だ。
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──時代が変わっても、家事はラクになっていない!
なぜ家事は女性の仕事だったのか?
明治から令和まで、家事と仕事の両立を目指してきた女性たちの歴史、それぞれの時代の暮らしと流行を豊富な資料で解き明かし、家事に対する人々の意識の変遷を読みとく。
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●メディアが広げた“幸せな”性別役割分担
●「本当は自分でやるべき」に縛られる
●育児をレジャー化する「名ばかりイクメン問題」
●令和の食卓における効率化と趣味化
●一汁一菜ブームが見落とすもの……etc.
家事のモヤモヤをときほく?し、共働き時代の新しいハ?ートナーシッフ?のかたちを考える。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
135
感情的なジェンダー論ではなく、家事を、歴史や社会を踏まえて冷静かつ総合的に論じている。多くの気づきがある。主婦とは何か、家事は労働か、「名前のない家事労働」の大変さ、家事=愛情表現という思い込み、良妻賢母の呪縛、シェアする難しさ…。明治の女性が良妻賢母思想に自らの存在価値を見出し、高度経済成長期に専業主婦という概念が形成されたが、社会が家事のあり方を強要するのではなく、それぞれの家族の多様性を許容する世の中でありたいと思う。家父長的な家族関係に安住する私の、落第者であることへの反省を込めての感想である。2022/10/29
とよぽん
85
これは、予想以上にすごい本だということがわかった。再度、精読しなければとも。阿古 真理さんの学際的な研究の成果が光る。表紙カバーやタイトルのやさしい雰囲気とは裏腹に、内容はとてもシビア。家事のケア労働たる本質、子育てと仕事と家事を担うことが否応なく求められる女性の心情面にも触れながら・・・。政府の少子化対策がいろいろ出されているが、当事者の女性の声を聞いていないと思う。働きながら子どもを育て、家事のほとんどをこなしている女性が、心から望んでいるのは「時間」だ!2023/01/20
ネギっ子gen
71
【推薦】明治から令和の女性たちの歴史、それぞれの時代の暮らしと流行を、食のトレンドと生活史やジェンダーなどのジャンルで執筆する著者が、豊富な資料で解き明かし、家事に対する人々の意識の変遷を読み解いた書。<家事もケアも担い手以外には、その大変さが見えにくいが、どちらも人が生きていく上で不可欠であり、行き届かなければ健康を害する可能性が高い。それほど大切なのに、これまであまり語られず、語られても軽んじられてきたのは、声が大きい人たちが家事の当事者にならず、家庭内で行われている限りお金を生まないからだった>。⇒2023/04/28
夜長月🌙@5/19文学フリマQ38
64
申し訳ないですが私は家事ができません。たまの料理や皿洗い、アイロンがけは家事を手伝っているのに過ぎず家事の分担はできていません。本書は学術的な記載も多くなぜ家事は女性偏重になるのか、30代、40代の子育てなどで一番忙しい時に共働きの夫婦であっても女性の家事・育児時間が長い理由を解き明かしています。全てを5:5に分担するのではなく向き、不向きがあって当然ですがパートナーとよく話し合うべきです。2023/09/14
たかこ
58
家事は大変なんだから!とアピールする本かと思ったら、ガッツリ学術書でした。明治から令和まで、社会の歴史と女性の歴史をさまざまな文献や資料から読み解いたとても価値のある1冊。明治の時代の良妻賢母教育、大正時代の母性保護論争は令和の時代でも通じているものがある。いまだに昔の習慣や価値観が残るけれど、女性が主婦業だけではいられなくなった今は、誰もが家事に当事者意識を持つことが大事なのではないだろうか。仕事は生活を支えるが、家事は命を支えるもの。まずは次世代のために、自分の家をチームで回すところから始めなくては。2023/01/21