内容説明
先に逝ってしまった大切なあなたへ―残された者にできるのは言葉を贈ること。悲しみと祈りを込めて紡がれる34の言葉の捧げもの。
目次
いのちひとつ
約束
悲しい人
はげまし
しあわせのあかし
慰めの方法
別れ
なぐさめの真珠
透明な釘
不思議な場所〔ほか〕
著者等紹介
若松英輔[ワカマツエイスケ]
1968年新潟県生まれ。批評家、随筆家、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授。慶應義塾大学文学部仏文科卒業。2007年「越知保夫とその時代 求道の文学」にて第十四回三田文学新人賞評論部門当選、2016年『叡知の詩学 小林秀雄と井筒俊彦』(慶應義塾大学出版会)にて第二回西脇順三郎学術賞受賞、2018年『詩集 見えない涙』(亜紀書房)にて第三十三回詩歌文学館賞詩部門受賞、『小林秀雄 美しい花』(文藝春秋)にて第十六回角川財団学芸賞、第十六回蓮如賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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モリー
67
【苦しみも/悲しみも/手放してはならない/人生という/貝殻が/なぐさめの真珠を/宿すまで】この詩に出会えて良かった。苦しみや悲しみは、棘のように心(たましいの)を刺す。その痛みに耐えかね、生きることを断念する人もいれば、棘など刺さっていない振りをして生きていく人もいるだろう。しかし、苦しくても手放してはならないのだ。なぜなら、たましいが痛みや悲しみによって流す涙には棘を包み込む成分が含まれているからだ。その成分は、長い時間をかけて棘を包み、やがて真珠のように輝き出すだろう。真珠を宿す人になろう。2021/12/28
かおりんご
26
詩集。大切な人を亡くした時や大切な人を思い出した時に、そっと寄り添ってくれるような言葉が紡がれている。無理矢理前を向かせるのではなく、共に歩いてくれる感じ?安心した気持ちになれます。2021/03/08
双海(ふたみ)
11
平易な言葉で紡がれるが、著者が一篇の詩に宿す思いは決して平易なものではないと知る。挽歌のような祈りを込めた詩。若松さんの詩集は何度も読み返したい。2022/03/08
joyjoy
10
「祈りの意味」。なんとなく感じてたことをぴったりの言葉で表してもらえて、心強く感じた。自分の無力さを感じるばかりで、色々な問題から逃げ出したり、見て見ぬふりをしたり。そんな自分が情けなくなることもしばしば。それでも、少なくとも、祈ることだけはできるよね。でもって、祈りには力があると、私は知っている。祈るべし。2023/01/29
沙羅双樹
8
自らの弱さを自覚しなければ人は強くなれない。そんなことを考えさせられた。この詩集を一言で言い表わすならば、「言葉になりえないはずの言葉が言葉になっている」2023/09/16