内容説明
外に出て四季をめでる。本屋と酒場をはしごする。自分だけの場所を探して―居酒屋作家のうたかたエッセイ。豊かな「ひとり時間」の過ごし方。
目次
これまで、これから
いつもいつもの心がけ
酒とのつきあい
旅のあとさき
趣味と暮らす
誰かのために
著者等紹介
太田和彦[オオタカズヒコ]
1946年中国・北京生まれ。長野県松本市出身。デザイナー、作家。東京教育大学(現筑波大学)教育学部芸術学科卒業。資生堂宣伝部制作室のアートディレクターを経て独立。2001~08年、東北芸術工科大学教授。本業のかたわら日本各地の居酒屋を訪ね、多数著作を上梓(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
88
70歳ともなれば、職場はもちろん後輩からの助言も求められず、ひとり居酒屋にて手酌で盃を傾ける。そして自分の人生を振り返る。豆腐は鍋でも脇役に過ぎないが、具材の味を吸っておいしくなる。豆腐が主役になるのは湯豆腐だ。単純な料理なのに飽きが来ないし奥深い。日本全国の居酒屋に詳しい著者が、日本三大居酒屋湯豆腐を挙げている。「年齢を重ねた最後の目標は、自分という人間の完成だ。」「自分を捨て、他人に喜ばれよ」私は一杯の酒だ。独酌に相手はいらない。盃があればよい。豆腐があればなお結構。齢を重ねそんな境地に至ってみたい。2021/06/29
のぶ
76
自分は太田和彦さんが好きで、その著書を30冊以上読んでいるが、この本も興味深い一冊だった。本人の本職はデザイナーで居酒屋探訪家(最近はこちらがメイン)の肩書を持つ多才な人。そんな太田さんも74歳になる。この本はエッセイを2ページごとの章に自分の生活スタイルを綴ったもの。前半部はお酒の話は出ず、サラリーマン生活をリタイア後、どう過ごすか述べておられるので、自分には大いに参考になった。後半はお酒の話や趣味の事等、自分と考えが合っているので共感する事ができた。自分もこんな風に歳を重ねたい。2021/01/17
あじ
29
人生晩年の章『これまで、これから』老いらくだからこそ『いつもいつもの心がけ』そして太田さんの十八番『酒とのつきあい』。物事に対してほどよい距離感を会得した熟年の“相貌”が読み取れた。特に最初の三章がいい。★3/5 エッセイ2021/02/28
tetsubun1000mg
12
太田和彦さんも74歳だそうだ。 TVの「新・居酒屋百選」ではまだまだ元気そうだがそんな年齢になったのか。 昨年から現地取材ができなくなって太田さんの回顧録のような感じで書かれたようだ。 居酒屋訪問の心得、今まで通ったおすすめ居酒屋の紹介。 ご自分の学生時代から資生堂デザイン部で就職して独立したいきさつや当時の生活などは太田さんファンには楽しめる。 大学教授時代の事はあまり書かれていなかったが今回は多くのエピソードが披露されて面白かった。 年を取ると別の部屋を持つと良いと言われるが、そこまで手を出せるかな?2021/02/09
二人娘の父
9
もう私が太田和彦さんの本を読むのは、これが最後だと思う。読んでいて辛いのだ。アップデートできていないジェンダー観。さらに経済的に困窮していないものが発する生活アドバイス。この内容に共感できる人が多くいるからこそ、こうした本が作られるのだろう。だからこそ、その事実が辛い。70歳になっていろいろと考えることが変わってきた、という話は興味深いし、お酒の飲み方や居酒屋の選択眼ではたいへんお世話になった。でももうさようならだ、太田さん。ありがとうございました。2022/08/16