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内容説明
ウォーホルなしでつくられたウォーホル作品は本物か?高クオリティーすぎて、それ自体で価値のついた“オリジナル贋作絵画”とは?バナナ味とバナナの違いが明らかにする味覚の真実とは?いんちき化石を信じた18世紀の博物学者の顛末とは?天然ダイヤモンドと人工ダイヤモンドはどちらが道徳的か?ネイチャー・ドキュメンタリーは本当に“自然”なのか?アート市場で高額取引される贋作から、いんちき化石、出所不明の古文書、博物館のレプリカ、合成香料、人工ダイヤモンドまで…。真贋のグレーゾーンを行き来する事物を通して浮かび上がる、歴史と文化の実相に迫ったノンフィクション!
目次
第1章 厳粛なる嘲り
第2章 嘘石の真実
第3章 炭素の複製
第4章 異なる味わいの偽物
第5章 セイウチカメラを通して見ると
第6章 大いなるシロナガスクジラ
第7章 そしていま、それは本物だ
第8章 旧石器時代を生き返らせる技法
著者等紹介
パイン,リディア[パイン,リディア] [Pyne,Lydia]
1979年生まれ。著述家・歴史家。アリゾナ州立大学で歴史学と人類学の学位、科学史・科学哲学の博士号を取得。現在テキサス大学オースティン校・歴史学研究所で客員研究員をつとめる
菅野楽章[カンノトモアキ]
1988年東京生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
57
模造や贋作は悪とされるが、模造が必要とされたり出来が良すぎる贋作に価値が生じる場合もある。本書には出ていないがフェルメールの贋作をナチスに売ったメーヘレンは有名だし、葛飾北斎の遺した版木で現在も刷られている浮世絵はウォーホルのアセテートと同じ問題を含む。無論、詐欺目的で作られる贋作が大半で、旅行先で宝石や時計の偽物を何回売りつけられたことか。しかし、購入者がそれを本物と信じて幸福ならば問題ないのも事実で、フェイクニュースを信じてアメリカ議会に突入したトランプ支持者が愚かだと決めつけられないのと同じだろう。2021/01/14
星落秋風五丈原
26
皆さんおっしゃっているように本物と偽物の境目なんてあいまいですよね。特にラストのバンクシーなんて堂々たる本物じゃないかって感じ。2021/06/16
くさてる
20
面白かった。みごとな贋作や故人の残した原版を新たに刷り直した作品や、フェイクの化石、人工ダイヤモンドなど、どこまでが本物でどこからが偽物なのかが分からなくなる事例がたくさん紹介されていて、その線引きや解釈の曖昧さが興味深い。ホンモノはなにか、ニセモノは価値がないのか? トリビア本として楽しく読むのもいいし、深く考えてみるのもいい、そんな一冊です。2021/01/21
taku
16
本物と偽物の価値と関係を問い、ホンモノの偽物がどのように作られたかを知る。好みの内容だ。真贋は綺麗に分割できるものじゃない。合成ダイヤモンドや人工フレーバーは技術の賜物。レプリカ洞窟・壁画のように、貴重な傑作を高度に再現したものであれば、それ自体が美術品と呼べるのでは。価値ある本物だから偽物の存在も大きく、偽物は本物を一層輝かせる。2021/10/28
チャー
15
本書は本物か偽物かの判定が人によっての分かれるであろう8つのテーマについて、それらの成り立ちや生まれた状況を詳しく記して解説している。各テーマは一概に真偽を即決できるものでもなく、果たしてそれらの違いは何かを様々な面から考えさせられた。人の手が加わった天然物、ありのままを撮影したはずのドキュメンタリー、本人の手法で別人に書かれた作品、本物から成分を抽出して再現したもの、構造が全く同じ人工物など、対象も大変興味深かった。個人あるいは社会がそう認めるためには、歴史とストーリーが必要という指摘は深いと感じた。2022/04/17
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