内容説明
がん細胞、免疫系、ミツバチのコロニーから、「多細胞社会」としての人間まで…。進化生物学の最前線から、人間の社会・経済活動のメカニズムを解剖する、知的興奮の書!
目次
この生命観
社会進化論をめぐる神話を一掃する
ダーウィンの道具箱
生物学の一部門としての政策
善の問題
加速する進化
グループが繁栄するための条件
グループから個人へ
グループから多細胞社会へ
変化への適応
未来に向けての進化
著者等紹介
ウィルソン,デイヴィッド・スローン[ウィルソン,デイヴィッドスローン] [Wilson,David Sloan]
1949年生まれ。アメリカの進化生物学者でビンガムトン大学(ニューヨーク州立大学ビンガムトン校)教授。マルチレベル選択説の提唱者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
187
生物学的な進化論の本と思いきや、社会学的な著作でしたが、興味深く読みました。日本の天皇制や北欧の王国の方が、権力が長期安定かつ分散されていて、棲み良い国家になっているのかも知れません。トヨタ自動車が変化への適応の事例として登場するとは思いませんでした。2020/03/14
うえぽん
47
進化生物学者が、社会を進化論的観点から分析し、実践を促した意欲作。共有資源管理の成功要因である「強いグループアイデンティティと目的の理解」等の中核設計原理を、近隣社会、企業等に普遍的に適用することで、共通の目標達成のための協力が生まれると主張。引用事例も印象的で、各檻の中で最も多産の鶏を繁殖に回す方法では超攻撃的な株が生じて産卵率が落ちたが、最も多産の檻の全ての鶏を繁殖させれば互いに友好的に振る舞い、多産が続くと言う。個人に全てを還元せず、小集団が社会的組織の基盤との考えは、公共政策の変革にも示唆的だ。2024/04/21
おおた
18
進化生物学を優生学という人間の都合でねじ曲げたりせず、人間という生物の行動を正確に見定めて社会に活かしていきましょうという話。鶏の群れで一見卵をたくさん産んでいるのに、実は群れの他の鶏に暴力をはたらいて群れ全体では卵の数が減ってるという話はおもしろい。生産性は安心が担保するのは人も鶏も一緒。2020/03/17
evifrei
14
グループ選択仮説にたつ進化生物学者の書く文化・社会論。一般向け書籍という性格も手伝ってか、文明病やがん等の身体・健康問題から政治や経営などを含めたかなり多岐に亘る話題を扱う。若干トピカルな書き方でもあるので好みは分かれそう。グループ選択仮説自体が学界でも賛否両論あり選択仮説に立たなくても同じような結論になっている部分もある様なので、この一冊を鵜呑みにする必要は無いのだろうが、進化生物学者のみた現代社会というテーマそのものの面白さはある。小集団のグループによる進化を述べる部分は孤独主義者としては肩身が狭い。2020/03/22
Hiroo Shimoda
13
グループ内競争では協調しない個が勝つが、グループ間競争では協調する共同体が勝つという主張。単純だが納得感はある。ただイマイチ文章が分かりにくい。2020/06/19
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- 和書
- 70歳のウィキペディアン