内容説明
国を挙げて大開発が進む中国。地方都市には高層ビルが建ち並び、人々の生活は豊かになっている。しかし同時に数百年単位で続いてきた「暮らし」が一瞬で消えていく。天空に浮かぶ村「窯洞」、昔日の繁栄を今に残す城壁の街、伝統劇や伝統武術を継承する人たち、変わりゆく水郷、その地方ならではの味…独特な文化が残る町や村の変わりゆく姿を丹念に描いた味わい深い紀行エッセイ。
目次
1章 キャラバンの通った道
2章 埠頭でつながる港町
3章 脈々と続く伝統文化
4章 商人たちの汗と涙
5章 開発と保護の狭間
6章 今と昔の交差点
7章 信仰が支えた町
8章 消えがたい戦の記憶
著者等紹介
多田麻美[タダアサミ]
1973年生まれ。京都大学文学部中国語学中国文学科卒業。同大学大学院在学中に北京外国語大学ロシア語学科に留学。留学中に北京の胡同の魅力にとりつかれ、北京の雑誌編集部に就職。その後、フリーランスのライター、翻訳者に。各種媒体で中国やロシアの文化・芸術に関する記事やコラムを執筆
張全[ジャンチュアン]
1965年北京生まれ。国家図書館での勤務を経て、2004年よりフリーカメラマンに。北京の胡同や中国の古鎮、および現代アートなど、中国の文化関係の撮影を幅広く手掛け、日本や中国のさまざまな新聞、雑誌、ウェブサイト、書籍に写真を提供(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なにょう
13
中国のなんということもない街をぶらぶらするのがいいのだ。★この本のすごいところ。①よくもまあそんな所に行ったね。②著者は大した中国通だね。老百姓の本音を引き出す取材力に感服したよ。ぶらぶらして美味しいもの食べました、というガイド本とは一線を画するね。著者の思い入れがあちこちに散りばめられているから読者を選ぶかもしれないけど。★日本同様、モダンと伝統の融合、過疎化といった問題がある。ただ大陸のそれはあまりにもドラスティックすぎる。今も誰かが泣いていて、でも立ち上がって明日を切り開くのだろう。2020/10/10
さとうしん
11
中国各地の古い街並みや暮らしぶりを残す土地の探訪記。放っておけば過疎化で寂れるばかりだが、保護の手が入ればたちまち観光地化されて現形が留められなくなり、元からいた住民の生活が破壊されてしまう。そういうジレンマを抱えているのはどこも同じようである。名も知らぬ街や村が舞台かと思いきや、紹興のようなメジャーな観光地や、洛陽のような都市部も取り上げられている。2019/11/07
ジュースの素
7
中国の地方は本当に面白い。28カ所もの古鎮を歩き、 歴史や観察を載せていて、よくもこれだけ回ったものだと思う。私の訪れた所は4カ所に過ぎないが、非常に面白かった。それほど古くないのに今もこのような暮らしをしているんだなぁ。 歴史を辿ると今の状態の理由がちゃんと分かる。中国はやはり興味尽きない国だ。2020/01/30
見もの・読みもの日記
5
ステイホームの日々で、旅の空が恋しくなって読んだ。私が訪ねたことのある場所もいくつかあったが、この10年くらいで急激に開発が進み、中国人観光客が増えたことには隔世の感がある。その一方、中国の田舎で出会う人々の素朴な親切さは変わっていなくて嬉しかった。2020/05/20
モビエイト
3
中国の古鎮、老街は再開発、観光地化の波にさらされているとの事。凄まじいスピードで発展を遂げている中国都市部と対照的な古鎮。懐かしい香りのする読後でした。2019/11/24