内容説明
別れた夫の思い出のみを胸に戦後を生きた女性。その遺品の手紙が語り出す、悲しい真実とは。イタリア人の目を通して描く、実話に基づいた「原爆と戦争」の傷跡。村上春樹作品のイタリア語版翻訳者が初めて綴った感動の小説。
著者等紹介
パストーレ,アントニエッタ[パストーレ,アントニエッタ] [Pastore,Antonietta]
1946年、イタリアのトリノに生まれる。ジュネーヴ大学でジャン・ピアジェの指導のもと教育心理学を専攻した後、パリのソルボンヌ大学で修士課程を修了。ジョルジュ・ポンピドゥー国立芸術文化センターで働いたのち77年に来日、大阪外国語大学イタリア語学科の客員教授を務める。93年にイタリアに帰国し、以来、日本文学の翻訳・紹介に精力的に携わる傍ら、執筆活動もおこなっている。2017年には村上春樹著『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』の翻訳で、第21回野間文芸翻訳賞を受賞
関口英子[セキグチエイコ]
埼玉県生まれ。大阪外国語大学イタリア語学科卒業。翻訳家
横山千里[ヨコヤマチサト]
大阪府生まれ。大阪外国語大学イタリア語学科卒業。イタリア語指導と翻訳にも携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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ケイ
114
日本人と結婚していたイタリア女性が、日本に住んでいた頃に知り合った義理の母の妹について語る。原爆に切り裂かれる愛。私の心にはせまってこなかったな。翻訳者は作家とは違うと改めて思う。2020/02/01
タピオカ
30
日本人と結婚したイタリア人作家アントニエッタさんの実話。結婚の挨拶に訪れた広島で義理の叔母ゆり子に出会う。別れた夫を想い続ける凛としたゆり子に惹かれる。愛し合っていたふたりはなぜ引き裂かれたのか、丁寧に掘り起こされていく。誰にも語らず想いを貫いたゆり子さんの生きた証を語り、戦争と原爆の傷跡を考える機会を作ってくれたアントニエッタさんに深く感謝。「別れがつらいのは、それだけ多くのものを受け取ったから 」2019/10/05
ぽてち
26
日本人の夫をもつイタリア人の女性の目を通して語られる、実話を基にした太平洋戦争悲話。義母の妹・ゆり子の秘められた過去は、戦時下に結婚した夫婦、広島に投下された原爆、その後の長く続く苦しみを伝える。タイトルとなった『最後の手紙』は、ゆり子の夫から届いた文字通り最後の手紙で、そこに綴られた内容になんとも言いようのない憤りを覚えた。2020/01/12
かもめ通信
18
“イタリア人の目を通して描く、実話に基づいた「原爆と戦争」の傷跡”という帯の言葉に惹かれて、「ぜひ読みたい!」と騒いでいたら、なんと書評サイト本が好き!を通じてご恵贈いただくことに!もしもあの戦争がなかったならば……。一見すると、はかなげで美しい悲劇の物語のようにおもえるがそれだけにとどまらない。要所要所で日本のあれこれを観察するイタリア人である<わたし>の冷静な視線が光り、そうしたところにも読み応えがあった。 2020/01/08
アヴォカド
13
ご飯作るのも忘れて、引きずり込まれて読んだ。愛しているのならこのような運命に抗えなかったのか、と考えるのは現代に生きているからだ。ただ悲しい。ただ悔しい。そして今も構造は繰り返されているのだと思う。2019/11/03
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