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出版社内容情報
高尾 賢一郎[タカオ ケンイチロウ]
著・文・その他
内容説明
イスラーム社会の正義とは何か。ワッハーブ主義を国是とし、宗教警察の取り締まりによって「正しいイスラーム社会」を形成する一方で、近代化にゆれるサウジアラビア。カリフ制再興のもとに宗教的社会をつくり出そうと、宗教警察により厳格な統治を行った「イスラーム国」。スマトラ島沖大地震を神からの警告として捉え、イスラームの規範に則った社会形成を加速させたインドネシアのアチェ州。三つの国と地域の宗教警察を明らかにする初の書。
目次
序章 イスラーム社会と風紀
第1章 イスラームにおける勧善懲悪
第2章 サウジアラビアの勧善懲悪委員会
第3章 サウジアラビア社会が迎える変化
第4章 「イスラーム国」のヒスバ庁
第5章 インドネシア・アチェ州のヒスバ警察
終章 勧善懲悪について振り返る
著者等紹介
高尾賢一郎[タカオケンイチロウ]
同志社大学大学院神学研究科博士後期課程単位取得満期退学。博士(神学)。日本学術振興会特別研究員PD(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)。専門は宗教学ならびに現代イスラーム思想・社会史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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えちぜんや よーた
89
自国の安全保障上、西欧社会との妥協を図ることを国是としたサウジアラビアと、イスラーム法にもとづき厳格な宗教的統治を目指すIS(イスラム国)。イスラム世界では前者が「善」で後者が「悪」だと言えないらしい。サウジアラビアがISを「宗教的」に「悪」と決めつけることは自己の存在を否定することになる。西欧に感化された日本社会では善悪二元論にした方が分かりやすいのだが。物事の本質を突き詰めると必ずしも二択で割り切れるものはそう多くはない。この本を読むことは、思索を深めるためのトレーニングになるだろう。2019/04/14
サアベドラ
22
イスラーム的風紀秩序の取り締りを目的として、いくつかのイスラーム諸国で設置されているいわゆる「イスラーム宗教警察」を解説した本。著者は若手のイスラーム社会学者。2018年刊。取り上げられているのはサウジアラビア、IS、インドネシア・アチェー州の3つの事例。厳格なワッハーブ主義を掲げて王制を正当化しているサウジ、それ以上の厳格さを標榜して存立を図ろうとしたIS、先の天災を反省に形だけでもイスラーム的秩序の維持に努めるアチェー州。宗教警察と一口に言っても三者三様で興味深い。イランでの状況が気になるところ。2018/12/10
アーク
2
イスラム教という宗教が権力となり、、その権力が信者たちをいかにして監視しているか、という事が分かる本。イスラム教というと、豚肉を食べたり男女ともに肌を必要以上に露出する服装はダメだったりはたまた酒を飲んだりするとムチ打ちなどの刑を下されるぐらいの事しか知らなかったけれど、ところ変われば権力も変わるようで、様々な国の宗教警察が持つ権力の違いを知ることができて勉強になった。とはいえこんな権力が幅を利かせる宗教は個人的には辛いな。2018/11/19
yamareco51
0
・サウジアラビア、イスラーム国、インドネシアのアチェ州における取り締まりが書かれている。 ・イスラーム国では新たな支配地域を獲得した際に教義的な理由で墓廟破壊が行われていた。これはインフラ整備のようなもので、若者や害億陣に正しいイスラームを実践させているという自覚を育む目的もあるらしい。このあとより具体的に風紀取り締まりが始まる。 ・ヒトラー・ユーゲントという単語を初めて知った。イスラーム国でヒスバ庁が子どもに風紀取り締まりに参加させているところが似ていると著者は感じたそう。 2022/04/10
吉野
0
筆者、高尾賢一郎さんの聡明さと洞察力、展開力が凄い。イスラム国、サウジアラビア、ムスリム等、日本人にはとかく不可解な題材を明瞭に説明し、鋭い問いを立てて理解を促す。いや参った。これ程の良書に巡り合うとは。これだから読書はやめられない。啓蒙の一冊。推す。2021/04/22
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