内容説明
夜空のかなたに広がる宇宙を見るその時、この世界の知られざる姿が浮かび上がる。美しく壮大なカラー写真を入り口に、宇宙物理学者がそこに潜む不思議を語る。
目次
世界を支配するダーク
ガリレオからTMTへ
織姫と彦星、そして昴
地上600キロ 空飛ぶ天文台
土星から見た地球
土星の衛星の世界
カール・セーガンの遺産
宇宙人へのメッセージ
一番近い星に生命が?
七つの「地球」を宿す星
アタカマ高原から見る惑星誕生の現場
夜空の宝石箱
平安時代の超新星爆発
衝突し合体する銀河たち
時空を超える重力レンズの蜃気楼
光で見える宇宙の果て
29+36=62の発見でノーベル賞
中性子星を巡る冒険
われわれは星の子ども
地球発、宇宙経由、パラレルワールド行き
著者等紹介
須藤靖[ストウヤスシ]
東京大学大学院理学系研究科物理学専攻教授。1958年、高知県安芸市生まれ。東京大学理学部物理学科卒業、同大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了、理学博士。専門は宇宙物理学、特に宇宙論と太陽系外惑星の理論的および観測的研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
72
「われわれは何も知らなかった」をキーワードに、天文学の最前線のエッセンスを紹介。ダークマターの存在により、結局宇宙の大部分が「未解明」となった今、観測が進めば、より知らないことが増えていく。撮影可能な最深・最遠の銀河群は、何とも神秘的な姿だ。星くずから生まれた私たちが、取り巻く物質も超新星起源であることを知ることは、何とも感慨深い。青空の下、私たちには日常だけが見えているが、夜がくれば、たちまち宇宙に取り囲まれ、人間の小ささと決して特別な存在でないことを知る。1冊でここまで天文学がわかる本は貴重だ。2020/03/07
クリママ
53
宇宙は、元素からできている普通の物質を合わせても5%にしかならない。残りはダークマター、ダークエネルギーと呼ばれ、それが何かわかっていない。というところから始まり、多くの美しい写真を交え、身近な宇宙を分かりやすい言葉で解説する。土星、その衛星タイタンを探索し、土星の大気圏で燃え尽き使命を果たしたカッシーニの話は特に印象深い。何故、燃え尽きなければならなかったのか。そして、家の望遠鏡で初めて土星の輪を見た時の感激を思い出した。宇宙の遠大さ、星々の美しさ、人間の宇宙への探求心を知ることのできる素敵な本だった。2022/01/11
みねたか@
34
高知新聞に連載された宇宙に関するエッセイ。理論と観測により解き明かされてきた宇宙の姿、科学オンチにも分かり易いロマンあふれる筆致。はるか60億キロのかなたから撮影した地球の姿ペイル・ブルー・ドット。夜空を彩る惑星状星雲など、各断章を彩る写真の数々がまた素晴らしい。終章『われわれは星の子供』中の一節「私たちの体を構成する元素はすべて、かつて宇宙のどこかの星の中心で合成され、その後の星の進化の過程で宇宙に飛び立ったもの。」。このちっぽけな身体と宇宙の歴史との関係に想いを馳せる。2021/08/14
やまやま
20
新聞の連載が単行書になる場合も多いのですが、編集が雑で元の記事の味わいさえ消滅してしまうことも時折目につきます。ところが、本書は適切な編集が施され、宇宙の博物学入門として大変読みやすいものになっています。新聞記事だった由来が功を奏して、著者の他の本によくある現象、脱線が続いて元に戻れず煙に巻かれること、も無いように思えます。シンプルで読みやすいという点、また出典の明示も丁寧で、観測の大事さが多くの層に理解されるようになるだろうなと考え、学問のアウトリーチとして素晴らしい本と賛同できました。2021/11/07
aloha0307
20
冬が近づき大気も澄んできて、天体観測にはいい季節ですね☺ 大きく美なカラー写真と宇宙のプロフィール随筆 を1年間新聞1面大全面に(本書はその単行本化)~高知新聞さんオツなことするなあ☺ 興味深いトピックに? 中でも土星に到達したカッシーニ衛星からの画像に言葉がでません 何層もの 輪 そして微かに映る 我が地球とお月さま☺☺(地球&土星の距離 光でも90分かかるのです) アイザック・アシモフ「夜来たる」のセリフ われわれは(宇宙について)何も知らなかった...その通りだね2018/11/08