内容説明
イタリア半島の片田舎の小さな町に過ぎなかったローマは、瞬く間に領土を広げ、地中海世界の覇権を握る。「戦争に強い」だけではなし得ない、その偉業を支えたシステムとは?壮大な歴史の物語が、いま幕を開ける―。政治、経済、戦争、ローマ人の意外な暮らしぶりを鮮やかに描き出す、今までにないローマ史。
目次
プロローグ ローマの歴史
第1章 キケロの晴れ舞台
第2章 古代ローマの起源
第3章 王政ローマ
第4章 ローマの大躍進
第5章 より広い世界へ
第6章 新しい政治
第7章 帝国から皇帝へ
著者等紹介
ビアード,メアリー[ビアード,メアリー] [Beard,Mary]
ケンブリッジ大学古典学教授、ニューナム・カレッジ特別研究員、「ロンドン・タイムズ」紙文芸付録の古典文学編集者、英国学士院会員、アメリカ芸術科学アカデミー特別会員。テレビ、ラジオなどメディアにもたびたび登場し、「イギリス一有名な古典学者」とも呼ばれている。著書は『Pompeii:The Life of a Roman Town(ポンペイ:ローマの町の生活)』(2008年、ウルフソン歴史学賞)など多数。アストゥリアス皇太子賞、大英帝国勲章受章
宮〓真紀[ミヤザキマキ]
英米文学・スペイン語文学翻訳家。東京外国語大学外国語学部スペイン語学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケニオミ
18
塩野七生の「血湧き肉躍る」ローマ人の物語と比べると、作者がさすが古典学教授だけあり、憶測をできるだけ排し、事実に基づいて、静かにローマ帝国史を描こうとしています。今まで知らなかった事実もあり、有益な図書だと思います。少しだけ、塩野七生の毒が抜けたような気がします。やはりカエサルはただの独裁者だったのでしょうか。どうやら自分で判断せざるを得ないようです。第Ⅱ巻に進みます。2018/08/29
組織液
13
あまり詳しく知らなかった王政ローマや共和制ローマについて新鮮な内容が載っていました。特にティベリウス・グラックスの富裕層がラディフンディアを経営し、ローマの為に闘ってきた中小農民が没落している様を見て農地改革に取り組もうと思ったあのエピソードはどうも証拠がなく、むしろ考古学の調査によれば広く小農が残っていた痕跡があるというのは衝撃です。また皇帝が生まれたから帝国が生まれたのではなく、帝国が生まれたから皇帝が生まれたというのも印象深かったです。2020/08/01
MUNEKAZ
11
イギリスの著名な古典学者によるローマ帝国本。一般向けの通史本かと軽い気持ちで読み始めたら全然そんなことなくて、様々な史料を駆使してローマという都市のはじまりからカエサル暗殺までを上巻では扱っている。個人的には征服や略奪、強姦といった暴力的な色彩の強いローマ草創期の伝説を、後年のローマ市民たちがどう考え、解釈し、自らの物語としてきたかに触れているところが興味深かった。またカエサルやその後継者たちを「独裁者」とする著者のスタンスには、好き嫌いが分かれるかも。2018/09/17
ふぁきべ
10
考古学的証拠や発掘品による情報を駆使し、ローマ史への見方を再構築し、わかりやすい言葉で伝えている。王政時代のローマについてはほとんどが創作か事実の組み合わせだろうということや、ガリア人のローマ占領と破壊について疑問を呈したり、そもそも初代執政官のブルトゥスなんていたのか、というあたり当然と思い込んでいたことに確固たる根拠と証拠をもって疑問を呈する。一般向けなので今の定説がどうだ、という話が出てこないのは残念だが、とても面白かった。2018/10/03
てつのすけ
5
現代のような通信網がなかった時代、広大な領土をどのように支配していたのか疑問だ。 本書では、建国からカエサル暗殺までが述べられている。2千年前から現代に至るまで、政治闘争は変わっていないということが理解できた。 Ⅱ巻は、初代皇帝アウグストぅスの時代から始まるのだろうか。楽しみである。2019/05/05