内容説明
信長、足利義満、清盛など、私たちがよく知っている歴史上の人物は、実際の歴史学の研究で明らかになっている実像とはかなりかけ離れている。たとえば清盛。悪役のイメージが強いが、宋との関係を再構築しようとする国際感覚のある人だった。清盛のイメージは鎌倉時代に作られ、勝者の視点を引きずったまま今日にいたっている。人物だけでなく、南北朝の意味、倭寇の存在、明治維新の背景など、歴史上の事柄はある時代の見方や考え方の影響を受け、常に更新されつづける。日本の歴史を東アジアのなかで見直し、歴史の見方そのものについて考えてみよう。
目次
1部 近代はいつからか(明治のリーダーたちの一般教養―儒教;日本と朝鮮半島の近代化はどう違う?;近現代史の描き方)
2部 三人の先駆者たち(南蛮貿易と織田信長;勘合貿易と足利義満;日宋貿易と平清盛)
3部 変わりうる歴史認識(なぜ南北朝があってはならなかったのか;南北朝時代の思想的背景;謙信・兼続と鎌倉)
著者等紹介
小島毅[コジマツヨシ]
1962年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。現在、東京大学人文社会系研究科准教授。専門は中国思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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koishikawa85
3
長らく読み差しだった本をようやく通読した。日本の歴史はアジアの中で捉えろ、という内容だが、はっきり言って読みにくい。話がかなり脱線し、つながりがよくわからないところもある。講演なら聞き流せばいいのだろうが、すんなり頭に入ってこない。2022/10/16
ぱらーむ
3
日本史全般について語った小島毅先生の本は、平易な語り口ながら、グイグイと日本と東アジアの関係について引き込む。日本史は常に東アジア史とリンクしており、「我々は孤立してるわけではないのだ」と語る先生の言葉に国内だけで歴史を語るのは手落ちだというメッセージが込められている。2012/10/28
Sho
3
「歴史は常に更新する」と帯にある通り、様々な時代の「日本」における歴史上の様々な出来事の背景や人物について、世間一般の認知にチャレンジした本。天皇は昔から天皇と呼ばれ、日本は生まれてこの方、万世一系の天皇のもとに統治されてきたと信じさせられるには、我々は多くを知り過ぎてしまった。2012/02/02
とまる
3
教科書の中身は、確定した過去の事実だと つい思ってしまう。けれどそれは単なる勝者的視点の渡り歩き、もしくは不確定な推測だと思い出させてくれる。2011/08/28
おやぶたんぐ
2
歴史を解きほぐそうとするとき、‘ 一国主義 ’ ではどうも真の姿が見えてこない。他の国々の動向や地理的状況のみならず、当時の地球的規模での環境まで視野に入れた壮大にして柔軟な思考が求められるようだ。その上、その思考がいつのまにか自分の都合の中で完結してしまう危険に常に晒されているらしい。そんな知的にして緊張感のある歴史認識の形成の一端を、本書は垣間見せてくれる。2019/02/12
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