危ない精神分析―マインドハッカーたちの詐術

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  • サイズ B6判/ページ数 264p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784750503042
  • NDC分類 146.1
  • Cコード C0011

出版社内容情報

“幼児期のトラウマ”――あなたもこのワナに狙われている!
心の問題を全て「過去」「親」のせいにする精神療法がある。時としてそれは個人に深刻なダメージを与えることもあり、さらに、心の病を深刻化させているという事例に事欠かない。既にアメリカでは訴訟騒ぎにまで発展している。
本書は気鋭の臨床心理士が精神分析的手法の誤謬性を明らかにし、「精神分析の悪」を暴く。

序章 本当に「トラウマ」で記憶が消えるのか
第1章 社会的事件となった「記憶回復療法」
第2章 記憶戦争
第3章 裁かれるセラピストたち
第4章 記憶回復療法とは何だったのか
第5章 精神分析批判
第6章 危ないPTSD概念の拡大
第7章 心理学書を片手に親にたかるコドモたち

内容説明

心の問題をすべて「過去」や「親」のせいにする精神療法がある。時としてそれは個人に深刻なダメージを与えることがある。本書は精神分析的手法の誤謬性を明らかにする。

目次

序章 聖書、または偽書
第1章 社会的事件となった「記憶回復療法」
第2章 記憶戦争
第3章 裁かれるセラピストたち
第4章 記憶回復療法とは何だったのか―逆分析する
第5章 精神分析批判―抑圧理論と因果論の危うさ
第6章 危ないPTSD概念の拡大
第7章 心理学書を片手に親にたかる子供たち―母親狩り

著者等紹介

矢幡洋[ヤハタヨウ]
1958年、東京都生まれ。京都大学文学部卒。西武文理大学講師、矢幡心理教育研究所所長
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

harass

67
「その症状は幼いころに父親から受けた性的虐待が原因です」と診断された患者は父親を告訴した。そういう虐待自体が無いのに。PTSD精神的外傷の解釈を拡大させたフェミニズムセラピストたちが引き起こした90年代米国での一連の事件を、心理療法士の著者が報告考察する。著者によると、日本では同じように母親がやり玉にあがったという。「アダルトチルドレン」などと。個人的に精神分析学への批判の本を探していてこれを手にとった。悪用するセラピスト、それも本人は正義の側だと思いこんでいるのは恐ろしい。読み物としても面白い本だ。2018/05/01

eirianda

17
PTSD、トラウマという言葉が大流行りした立役者ハーマンを批難した本書。催眠療法を用いて無理矢理思い出させた幼児期虐待の記憶は、殆どがマインドハックされ思い込んだ偽の記憶だった。強固な直線的因果論は現代社会に深層まで染み込んだひとつの思考の病い。原因探しの強迫症状。欧米では父親が性的虐待の犯人に仕立て上げられ、日本では母親がACを生み出したと咎められる。精神分析自体がそもそも怪しい。ハーマンの『心的外傷と回復』って中井久夫訳だから、みんな鵜呑みにしちゃったかも。もうオカルトの域。2016/10/11

ステビア

10
とっっっても良い本!精神分析・心理療法を叩きたい人はもちろん、「AC」(を自認する人々)たちに読んでもらいたい。人間は変われるんですよね。2014/02/27

kenitirokikuti

6
図書館にて。記憶回復療法の失敗については、過去に読んでたが、今回は橘玲の本からのナビで再読▲アメリカの保険制度改革により、DSMの第三版(1980)からフロイト流精神分析による療法が保険適用外となり、狂った悪徳医師がやっちまったというお話。いまのアメリカの、オピオイド災に通じるのだろう、と見た。あとフェミ活動家の方面に、記憶回復療法の影を感じるのな▲アメリカの場合、夫が妻や娘など家庭内を支配しようとするというイメージがある。日本の場合、日本の男は家庭の外に女を求めるので、娘が父を訴えるというのは少ない。2022/05/15

in medio tutissimus ibis.

5
精神分析、ひいては人間のもつ因果関係への志向が時に自己の可能性を著しく限定することについて。記憶回復療法が引き起こした社会的混乱については無論だが、同時に著者がその首謀者ハーマンへの(ろくでもない人間だと理解はできるが)過剰なまでの敵意の表明も同様に興味深かった。その過剰さが本書の説得力を一旦は減じている一方で、そのことに読者が感じるだろう倦怠感がまさに「犯人探しをやめよう」というメッセージを補強しているからだ。これが著者の掲げる解決志向セラピーの方便なのだろう。毒箭の喩えに似るが、通読すれば握拳はない。2017/10/27

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