出版社内容情報
日・中・米の熟練幼稚園教師へのインタビューを通して、教授法の特徴と熟練に至る過程を比較分析。文化人類学的手法と15年にわたる縦断調査から、3か国の文化的・構造的要因の共通点と相違点を明らかにするとともに、他国や他分野への応用可能性も示唆する。
【目次】
はじめに
序章
導入期の先
経験と専門性
成長に資するもの
専門性を研究する方法
3か国における専門性の研究
本書の構成
第1章 日本
森田:「昔は焦っていた」
貝塚:「子どもみんなに同じように振る舞わなければいけないと思っていた」
初心者と熟練者の違いの概念化
○時間、空間、そして落ち着き
○台本どおりの教育法
○白紙の状態
○子どもを見る
○我慢して、子どもにゆとりを与える
○柔軟性と曖昧さ
○身体実践としての専門性
日本の教師が専門性を高めるために必要なこと
○メンタリング
○経験を通して学ぶ
○体系的な専門能力の開発
○バリエーション
○地域に根ざした専門家
○漸進的な成長
結び:森田と貝塚の今と昔
○身体化された教育法
○森田の今と昔
○貝塚の今と昔
○「最低でも5年はかかる」
○身体的専門性の軌跡
○日本の幼児教育の領域を超えて
第2章 中国
ワン:進歩的なアイディアを厳しい民間企業に持ち込む
チェン:公的部門でのキャリア
ワンとチェンの専門性について:中国の園長による評価
教師の専門性ランキング
専門家としての指導の暗黙の定義
○ケア
○実践的な知識と教育的手腕
○緊さと緩さ
○思慮深い無思慮
○手かせ足かせで踊る
現代中国における教師の専門性の背景
○民間部門と公的部門
○農村部と都市部
○コーホート効果
プロフェッショナルの育成
○見習い学習
○勉強会
○園外から学ぶ専門知識
中国全土で専門性を高めるという挑戦
第3章 アメリカ
ジャニー:「セント・ティモシーズの母たち」の教育法を受け継ぐ
フラン:静かに自分の信念を貫く
内容説明
各国の熟練教師の教授法の特徴は何だろうか。熟練教師に至る過程に何が貢献しているのだろうか。本書の特色の一つは「国際比較研究」であることだ。日本、中国、アメリカの112人の幼児教育者の声に耳を傾け、経験による変化の方向性と特徴に迫った。教育実践においては相違の多い3か国だが、3か国の幼児教育者は、経験による変化について同じような軌跡を語り、彼らの語る変化の特徴は、面白いほどに一貫していた。比較によって類似点と相違点が鮮明になる国際比較研究の成果といえるだろう。本書は、各国の教師が時を経て、経験を重ね、どのように成長していくかのストーリーである。
目次
序章(導入期の先;経験と専門性 ほか)
第1章 日本(森田:「昔は焦っていた」;貝塚:「子どもみんなに同じように振る舞わなければいけないと思っていた」 ほか)
第2章 中国(ワン:進歩的なアイディアを厳しい民間企業に持ち込む;チェン:公的部門でのキャリア ほか)
第3章 アメリカ(ジャニー:「セント・ティモシーズの母たち」の教育法を受け継ぐ;フラン:静かに自分の信念を貫く ほか)
第4章 3か国を比較して(3か国における教育的専門性;教師の専門的成長における文脈的要因 ほか)
著者等紹介
林安希子[ハヤシアキコ]
慶應義塾大学商学部准教授。アリゾナ州立大学大学院教育学部博士課程修了(Ph.D.)。ジョージア大学ポスドク研究員、明治大学専門職大学院ガバナンス研究科助教、慶應義塾大学商学部専任講師を経て現職。専門は幼児教育、比較教育、文化人類学、発達心理学、質的調査法。幼児教育者がどのように子どもたちと接しているのか、子どもの育ちと文化はどのように関係しているのか、教育政策や社会がどのように幼児教育に影響を与えているのか。教育文化人類学者として、ミクロからマクロに至って幼児教育の研究を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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