出版社内容情報
産む・産まない・産めないを、国家や医療、他者が管理しようとするこの世界で、「わたしたち」は自身の経験を語る。日本における中絶の歴史を振り返り、当事者の声と、支援者や研究者、取材者などの立場で様々な中絶を見聞きした人たちの声を収録。
内容説明
産む・産まない・産めないを、国家や医療、他者が管理しようとするこの世界で「わたしたち」は自身の経験を語る。日本における中絶の歴史を振り返り、当事者の声と、支援者や研究者、取材者などの立場で様々な中絶を見聞きした人たちの声を収録。
目次
第1部 中絶をめぐる長いお話(妊娠したら産むしかない?―堕胎罪と優生保護法;中絶を禁止する動きと女たちの抵抗―表現と記録;わたしの身体、わたしが決める―リプロとSRHR)
第2部 わたしの経験(自由に産めないのなら、とコンドームを買った;目が覚めて、「この世に戻れた」と思った;手話通訳はなく、説明がわからない ほか)
第3部 様々な経験に接して(孤立出産;若年女性と沖縄での中絶;一〇代の妊娠葛藤 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
78
表題の「わたしたち」には、当事者だけでなく、男性、医療従事者、社会などすべての人々が含まれていることを読後感じた。中絶を経験した38人の体験談はもちろん異なるが、日本の中絶は費用が高く懲罰的な面があり、世界中で認められている中絶薬が認可されてもハードルが高く、必要のない同意書を求められることなど問題だらけであることを初めて知った。映画「あのこと」や「17歳の瞳に映る世界」でも、いつの時代も若い女性に負担がかかる。SRHRという概念「自分の身体は自分で決める」という考えが葛藤を少しでも和らげればいいと思う。2025/05/25
だーやま
2
高校生のエピソードが印象的だった。「わたしのからだの主人公はわたしであって、わたしが妊娠を継続しない決断をしただけのこと」。中絶を選択するとき、それが周りの人の意見や社会からのスティグマに影響されてはいけない。本人が納得できるものでなければならない。助産師1年目、出産も中絶も死産も様々あった。わたしは医療職としてフラットに患者と接することができているだろうか。2025/03/22