内容説明
彼女たちの高齢期を、いかに社会として迎えるか。在日タイ女性が抱える脆弱性と高齢期に向けた選択を制約するものとは―。越境的な家族関係、それぞれの社会・制度に埋め込まれたジェンダー規範に着目して分析。高齢期を迎えるニューカマーの実相に迫った嚆矢となる研究成果。
目次
序章 在日タイ女性の高齢期―「国際移動の女性化」の帰結として
第1章 在日タイ女性のトランスナショナルなライフコースとその背景
第2章 在日タイ女性の高齢期をめぐる諸要素と分析概念
第3章 感情的紐帯と経済的紐帯の分かちがたさ―タイと日本、娘・妻・母親という役割
第4章 高齢期の準備―日タイの家族の感情的紐帯と経済的紐帯の維持と選択
第5章 壮年期の経済的脆弱性と高齢期の社会保障
第6章 エスニック・グループがもつ感情的紐帯の機能―包摂と相対的剥奪感による排除
第7章 社会的資源としての自治体窓口やNGOと相対的剥奪感の緩和
終章 国境を挟む高齢期の準備に潜む脆弱性
著者等紹介
新倉久乃[ニイクラヒサノ]
和光大学現代人間学部非常勤講師・客員研究員、立教大学異文化コミュニケーション学部非常勤講師など。フェリス女学院大学大学院人文科学研究科博士後期課程修了。文学博士。2022年度国際ジェンダー学会研究奨励賞を受賞。研究関心:国際社会学、ジェンダー、貧困と社会保障、在日タイ女性の高齢化、多文化共生。経歴:特定非営利活動法人女性の家サーラー、寿・外国人出稼ぎ労働者と連帯する会カラバオの会(神奈川県)とThai Community Development Center(Los Angeles, US)で、在外タイ人の人身取引被害者、生活困窮に直面する女性および母子を対象とした福祉・生活相談のケースワーカーを経て現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。