目次
1 イギリス領カリブとは?
2 複雑な人種構成とその背景
3 英語圏としての旧英領カリブ世界
4 イギリス領カリブの成立と自立
5 カリブからイギリスへのインパクト―戦後移民と戦後文化の形成
6 レイシズムとアンチ・レイシズムの間
7 故郷喪失のカリブ
8 カリブのカーニバル
著者等紹介
川分圭子[カワワケケイコ]
京都府立大学教授。文学博士(京都大学)。イギリス近世・近代史専攻、ロンドン商人、西インド貿易を主に研究
堀内真由美[ホリウチマユミ]
愛知教育大学教育学部准教授。博士(文学、大阪大学)。イギリス近現代女性史、ジェンダー論、ポストコロニアル研究、ブラック・フェミニズム専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ブルーツ・リー
3
かつてイギリスの植民地だった事もあって、植民地支配に対する抗議の内容がかなり多かった。 その件に関しては、非は植民地支配を行ったイギリスにあるのは間違いなく、現地の人が非難するのもやむを得ないというか、当然であるように感じた。 ただ、カリブ海の国々に置いて、黒人がマジョリティであり、そこでは何とクレオールと言われる白人の現地民がヘイトに晒されているという。 これでは、白人が多い国での移民へのヘイトの裏返しで、結局は人類というものは、多数者が少数者を攻撃することしかできないのかと、暗澹たる気持ちになった。2023/11/01
ブルーツ・リー
2
「辺境」と「周辺」の問題というものがあって、カリブ海の島々は世界的に見ればまぎれもなく「辺境」だろう。 人種としても、黒人やラティーノが多く、マイノリティが強い地域だ。 しかも、旧イギリスの植民地下だった事もあって、社会的に相当対抗文化が強い地域の模様。 近年になって、対抗文化も見直され始め、無暗に争うのではなくて、穏便に、穏健に問題解決に努める。とする意見も出て来てはいるが、しかし、結局は人類は二項対立を好むもの。 この地域に置いても、白人対黒人。カトリック対プロテスタント。と、ずいぶん争っている。2024/01/25
takao
1
ふむ2024/12/04
印度 洋一郎
1
カリブ海の旧イギリス領の島々を中心にした本だが、この地域でのイギリス文化圏の存在感の大きさが偲ばれる内容。カリブ海に植民してきたイギリス人はサトウキビ栽培の大規模経営を行うプランターと呼ばれる大農場主を中心にした社会を形成し、そこに労働力として連れてこられた奴隷の子孫が、現在の住民の大半である黒人という社会を基層にしている。そのような歴史的背景から、島毎に独自の利害を持っているため、戦後イギリスが意図した島々を一つの連邦として独立させる西インド連邦は短期間で瓦解。カリブと並んでイギリスに関する記述も多い。2024/07/22
土偶
1
このシリーズでは2023年初版の新しい地域。 カリブ海諸国で何で英領の島単位で独立国家が林立したのかずっと不思議だったところで、この答えがようやく分かった気になる。 またイギリスでのレイシズムについてのドキュメントでクラプトンがその側の人間(彼の音楽のルーツの一角が黒人音楽が含まれるにも関わらず)だという過去があったことに驚いたんだが、それを含めたレイシズムと反レイシズムの音楽シーンにページが割かれているのも特徴的。2024/04/17