内容説明
オランダにはかつて、カトリックや社会主義者といった集団、「柱」が存在し、集団別に権利が与えられてきた。オランダは今日、ムスリム集団の権利をいかに保障するのかという問題に直面している。
目次
第1章 ムスリムの流入と多文化主義
第2章 ムスリムの社会的排除/包摂とナショナル・アイデンティティ
第3章 柱状化とムスリム
第4章 オランダの公共放送体制におけるムスリムの参入
第5章 ムスリム高齢者連合の認可と活動
終章 オランダは寛容な国か?スケープゴートにされるムスリムたち
著者等紹介
義澤幸恵[ヨシザワユキエ]
神奈川工科大学非常勤講師。社会学修士(一橋大学)。専門分野は社会学、地域研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
BLACK無糖好き
17
21世紀、西洋ではムスリム移民やイスラームとの関係において多文化主義は失敗したと言われる。オランダも寛容な社会というイメージは疑問視されるようになった。本書はオランダで1900年代半ばまで存在していた「柱状化」という多極共存型の政治システムを分析し、宗派やイデオロギー毎に分割された社会制度の特徴と、その限界を解き明かしている。◆異なる文化や価値観を持った住民同士がどう共存していくのかは永遠の課題。ナショナル・ポピュリストのロジックにはまることなく、共存の道を模索し続けるのも大事なのだろう。2023/11/09