内容説明
制度の狭間にある困難と支援のダイナミズムを個別の“物語”から読み解く!すべての人は何らかの仕方で典型から外れる個別の事情を抱えており、その個別性において悩み、力を発揮している。誰かの個別の事情は他の人には当てはまらないのだが、まさにそれゆえに(個別の事情を抱えた)他の人を触発しインパクトやヒントを与えるだろう(序章より)。
目次
すき間と力
第1部 すき間にいる人―当事者のリアリティ、エネルギー、ユーモア(笑いと共感―発達障害傾向にある幼児の母親コミュニティの機能;発達障害児の母親の生き生きとした語りからその強さを読み解く;語れないこと/語らされること/語ること―社会的養護のもとで育った若者たちの声)
第2部 すき間からの居場所のつくられ方(仕切りを外すつながりづくり―地域の子ども食堂と学習支援の取り組みから;つながりをつくる居場所―放課後等デイサービスにおける支援の論理;個別と集団に橋を架ける―児童養護施設の混乱と言葉の回復;「声は出してないけど、涙ずっと流れてるんですよ。それで、『守ってあげないとな』って思いました」―社会的養護を経験したヤングケアラーAさんの語りから)
著者等紹介
村上靖彦[ムラカミヤスヒコ]
大阪大学人間科学研究科教授。基礎精神病理学・精神分析学博士(パリ第七大学)。専門は現象学的な質的研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ネギっ子gen
63
子どもや子育ての困難と支援のダイナミズムを、子どもや親、支援者の「語り」を軸に可視化。<本書は、社会の中で“すき間・はざま”に置かれる子どもと親をテーマとする。“すき間・はざま”にあるということは、福祉制度によってカバーしきれないすき間に置かれているということである。制度のすき間は、グレーゾーンだったり特殊事例だったり、場合によっては表に見えにくい虐待や差別だったりという形を取るだろう。このことは類型化が難しいということを意味する。すき間にある事象は典型から外れるわけであり、統計的な把握では捉え難い>。⇒2021/12/24
K1
13
発達障害児の母親、養護施設で育った若者、子ども食堂と学習支援グループ、放課後等デイサービス事業者、児童養護施設職員、ヤングケアラーのインタビューを文字に起こして、副題にあるとおり一人ひとりの「語り」をその人の経験として可視化しています。とかくひとくくりにしがちですが、その人と向き合って、話しをすることって大切だなと思いました。2021/11/15
fuwa
3
必要だけれど中々なされることのない『一人ひとりの「語り」と経験の可視化』。丁寧に形にされていて、著者の方々の優しさを感じました。今回一番驚いたのは久保樹里さんの章。ある児童養護施設の混乱とその回復が生の言葉で現され、社会的養育に携わる人たちには必読だと感じました。編著者の村上靖彦さんの他の著書も読んでみたいです。2021/12/14
Go Extreme
3
すき間と力 すき間にいる人―当事者のリアリティ、エネルギー、ユーモア: 笑いと共感―発達障害傾向にある幼児の母親コミュニティの機能 発達障害児の母親の生き生きとした語りからその強さを読み解く 語れないこと・語らされること・語ること―社会的養護のもとで育った若者たちの声 仕切りを外すつながりづくり つながりをつくる居場所 個別と集団に橋を架ける 「声は出してないけど、涙ずっと流れてるんですよ。それで、『守ってあげないとな』って思いました」―社会的養護を経験したヤングケアラーAさんの語りから2021/11/05
Nao
1
6人の教育、福祉分野の専門家による子どもの支援·体験事例紹介。 子ども食堂は貧困対策と多世代交流の場の2つの意義があるbyむすびえ 第6章の児童養護施設再生と7章のヤングケアラーの語りが大変興味深かった。 日本で育つ子どもが少しでも幸せに生活を送れますように。 2023/04/21
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