内容説明
19世紀に民間の主導で始まり、現在、年に数百万人の来館者数を誇るイギリスの美の殿堂、ロンドン・ナショナル・ギャラリー。数々の作品の誕生をめぐる秘話、そしてギャラリーにたどりつくまでの波瀾の旅路。名画をめぐる絢爛な歴史の世界へ皆さまをご案内いたします。
目次
ロンドン・ナショナル・ギャラリーの始まりと『抗議の叫び』の周辺
リチャード二世の祈り―“ウィルトンの二連祭壇画”
「奇妙な静けさ」の理由―ウッチェロの“聖ジョージとドラゴン”
女公爵を想う―マセイスの“醜い老婆”
権力の人―ラッファエッロの“教皇ユリウス二世”
名誉の人―ベッリーニの“ロレダン総督”
国際政治最前線―ホルバインの“大使たち”
宮廷政治最前線―ホルバインのテューダー・ポートレート
北イタリアの勃興する芸術―モローニの伊達男たち
実在の、だが触れられぬ存在―カラヴァッジョの“エマオの晩餐”
弾圧と繁栄の冬景色―ブリューゲルからアーフェルカンプへ
イギリス人御用達だけでなく―カナレットのヴェネツィア
イギリス絵画の毒と華―ホガースの“当世風結婚”
革命の時代の女と男―ヴィジェとダヴィッドの自画像
続く発見、深化する解釈―ドラロッシュ、クリヴェッリ、ファン・エイク
著者等紹介
細川祐子[ホソカワユウコ]
セント・マイケルズ大学修士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夏
24
19世紀に民間の主導で始まったロンドン・ナショナル・ギャラリーの歴史と、ロンドン・ナショナル・ギャラリーに展示されているいくつかの絵を歴史と共に概覧する。「ウィルトンの二連祭壇画」「聖ジョージとドラゴン」「ロレダン総督」など、ここに挙げられている作品は有名なものばかりだ。今まではただ美しいとだけ感じていた作品たちが、実はこれだけの歴史を持っていたのだと思うと感慨深いものがある。美術好き、歴史好きにはたまらない本であるだろう。★★★☆☆2022/12/18
みさと
5
憧れの美の殿堂ロンドン・ナショナル・ギャラリー。その成り立ちと、収蔵される名画の数々にまつわる物語。イギリス、イタリア、フランスの血塗られた歴史と都市の繁栄、教会や権力者たち絵画の発注者の意図と、それを見事に表現した画家たちの技量や描き込んだ意味。歴史の講義であり謎解き。読みながら考え、考えながら読む。読みながら時間と空間を超えた大いなる旅をさせてもらった感じ。読んだ後はギャラリーを訪れ、取り上げられた絵画と直接対面したくなったし、舞台となった諸都市を訪ね歩きたくなった。ほんと、いてもたってもいられない!2021/03/10
Shiraban
3
情報と切り口が新鮮。画家、発注者、モデルの夢や欲求や野心と、政争や戦争や疫病といった変動がクロスするところが絵画にどう映っているか、モチーフや表現を決定しているか。序章から最終章まで弛みなくワクワクした。いやー、久しぶりに美術書を堪能しました。2021/06/17
takao
3
民間主導。フランス革命で美術品海外流出。2021/04/10