出版社内容情報
家庭養護の推進という国際的な動向の中で、その先頭を走ってきたイギリスでは、施設養育の意義や専門性を見直そうとする動きが起こっている。その理論的な柱となるソーシャルペダゴジーの概念を手がかりに、今後のわが国の社会的養育のあり方を考察する。
序文
第1章 序論
レジデンシャル・チャイルドケアの歴史の概略
ソーシャルワーク内でのレジデンシャル・チャイルドケア
レジデンシャル・チャイルドケアの近年の歴史
ソーシャルケアの行政改革
政策方針の変化
新たなケアのあり方
本書で提示する実践の方向性の特徴
レジデンシャルケアの中心的な特徴の抽出
本書の構成に関して
第2章 安全と安心:所属感
事例
はじめに
毎日のルーティーン、リズム、習慣
関係性を通した安全感
安全感に関連した理論的な概念
アタッチメントとコンテインメントの適用――メイヤーの『ケアの中核』
家族と拡大家族のリズム
ケアリングの文化的・精神的リズム
まとめ
事例を振り返って
実践に向けた考え方
第3章 養育:ケア感覚
事例
はじめに
ケアの倫理
愛情と適切な関係性
ふれあい
食事
衣服
まとめ
事例を振り返って
実践に向けた考え方
第4章 健康:ウェルビーイングの感覚
事例
はじめに
インケアの子どもの健康ニーズ
インケアの子どもたちの社会環境
健康の不平等
近代世界に生きる
アディクション(依存症)
アディクションが子どもと家族へ及ぼす影響
問題解決能力のギャップ
ウェルビーイング
生活場面でのアプローチ
健康的な職員を支える
まとめ
事例を振り返って
実践に向けた考え方
第5章 達成と楽しみ:広い意味での教育
事例
はじめに
教育の性質
社会的養護のもとで暮らす子どもに対する教育
幸福の性質
教育と幸福の橋渡し
広い意味での教育
教育的機会に富むレジデンシャル・チャイルドケア
創造性
教師とケアするひとの役割
ユーモア
まとめ
事例を振り返って
実践に向けた考え方
第6章 アクティビティ:目的感
事例
はじめに
遊びの重要性
遊びとアクティビティの種類
目的意識を持ったアクティビティの利点
適切な水準にアクティビティを調整する
時間、空間、アクティビティ
アクティビティの調整
アクティビティとリスク
「体験の手配者(experience arrangers)」としての大人
関係性――コモン・サード(共通の第三項)
まとめ
事例を振り返って
実践に向けた考え方
第7章 尊重と責任:シティズンシップ(市民性)の概念
事例
はじめに
背景
ルールと権利を超えて
尊重の文化を発展させる
衝突への対応
身体拘束
尊重を学ぶ
責任を学ぶ
まとめ
事例を振り返って
実践に向けた考え方
第8章 貢献:寛容な精神を育む
事例
はじめに
利他主義と共感
寛容を妨げるもの
ケアの倫理からの寛容さへのアプローチ
賃金労働における寛容と感謝
精神の寛容さ
他文化における寛容の見解
職員の親切
子ども・若者集団のなかの親切
まとめ
事例を振り返って
実践に向けた考え方
第9章 包摂:コミュニティ感覚
事例
はじめに
排除の原因
子どもの権利
参加
ソーシャルワーク上の決定への子どもの関与
良好な関係の重要性
ソーシャルキャピタル(社会関係資本)
まとめ
事例を振り返って
実践に向けた考え方
第10章 結論
参考文献
監訳者あとがきと解説
著者・監訳者・訳者紹介
マーク・スミス[マーク スミス]
著・文・その他
レオン・フルチャー[レオン フルチャー]
著・文・その他
ピーター・ドラン[ピーター ドラン]
著・文・その他
楢原 真也[ナラハラ シンヤ]
監修/編集
益田 啓裕[マスダ ケイスケ]
翻訳
永野 咲[ナガノ サキ]
翻訳
徳永 祥[トクナガ ショウコ]
翻訳
丹羽 健太郎[ニワ ケンタロウ]
翻訳
目次
第1章 序論
第2章 安全と安心:所属感
第3章 養育:ケア感覚
第4章 健康:ウェルビーイングの感覚
第5章 達成と楽しみ:広い意味での教育
第6章 アクティビティ:目的感
第7章 尊重と責任:シティズンシップ(市民性)の概念
第8章 貢献:寛容な精神を育む
第9章 包摂:コミュニティ感覚
第10章 結論
著者等紹介
スミス,マーク[スミス,マーク] [Smith,Mark]
エジンバラ大学のソーシャルワーク上級講師。それ以前は、ストラスクライド大学でレジデンシャル・チャイルドケアの大学院コースを創設し、ソーシャルワークを教えていた。アカデミックな世界に移る前は、レジデンシャルケアの実践者、主任として20年以上の経歴を持つ。レジデンシャル・チャイルドケアに関するさまざまな文献を発表しており、特にケアの本質と養育の概念に関心を持っている
フルチャー,レオン[フルチャー,レオン] [Fulcher,Leon]
子ども・若者を対象としたレジテンシャルケアやフォスターケアで40年以上ソーシャルワーカーとして働き、いくつかの国で大学講師としても勤務している。文化や国を超えて仕事をすること、チームワーク、ケアをするひとのケアなどが専門であり、スーパービジョンや研修にも携わっている
ドラン,ピーター[ドラン,ピーター] [Doran,Peter]
ソーシャルワークに34年間従事し、レジテンシャルケアや教育サービスでの実務や運営に携わってきた。現在は非常勤として、地方自治体のフォスタリングやパーマネンス関連の仕事を引き受けている。また、スコットランド政府による子ども・若者に対する複合的で特別な支援ニーズに関する検討会議の議長を務めている
楢原真也[ナラハラシンヤ]
児童養護施設子供の家、治療指導担当職員。日本ソーシャルペダゴジー学会理事。大学院卒業後、児童養護施設で児童指導員や心理職として勤務。子どもの虹情報研修センター主任を経て、2015年より現職。臨床心理士、人間学博士
徳永祥子[トクナガショウコ]
日本財団研究員。大阪市阿武山学園、国立武蔵野児童学院にて児童自立専門員として勤務後、2016年より現職。日本ソーシャルペダゴジー学会理事、福祉社会学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。