出版社内容情報
地政学的な条件もあり国際政治の厳しい局面に巻き込まれてきた近現代のイラン。その社会=政治運動は、知識人、エスニック集団や軍人、在外イラン人など、国境を越えた活発なネットワーキングに依拠し、国内外の力関係を反映して展開してきた。本書では、ネットワーク型社会運動の系譜と、その政治化における諸問題を学際的アプローチで捉え論考する。
山岸 智子[ヤマギシ トモコ]
著・文・その他/編集
目次
第1章 大国政治のなかで―繰り返される介入と抵抗
第2章 国境を越える紐帯の輪―革命防衛隊第九旅団バドルからバドル機構へ
第3章 選挙と部族社会―第一一回大統領選挙におけるコフギルイエ・ヴァ・ボイラフマド州の動向
第4章 NGOの活動と役割―脊髄損傷者を対象としたNGOを例に
第5章 近代との邂逅の現場―イラン系ムスリム知識人の旅行記から
第6章 ネットワーキング―領土を越えるイラン人意識
著者等紹介
山岸智子[ヤマギシトモコ]
明治大学政治経済学部教授。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。専門は文化論とイラン地域研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
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「イラン人によるネットワーク型社会運動の系譜と、その政治化に際しての諸問題の検討」をテーマとした研究の成果。□政治的・軍事的な力の場にイランを置いての分析、□イラン国内の集団編成における変化の例示、□「イラン系」の人々のつながりの知的・実質的側面などを6本の論文でまとめている。特に「ペルシャ語読書階級」と呼ばれる層と、イラン・ナショナリズムの成立と展開を、情報通信技術の発達との関係で分析した論文は興味深かった。◆イランをイスラームの文脈で捉えすぎると、その裏側が見えにくくなるという事だろう。2019/01/07