出版社内容情報
人びとの意思決定や経済行動を心理学や認知科学、脳科学などの視点から捉えるナッジの経済学。消費者保護、教育、環境、財政、健康と安全、税、電気通信など、世界各国の公共部門で導入されている公共ナッジの事例を豊富に紹介し、その有効性について考察する。
序文
謝辞
頭字語・略語
要旨
第1章 なぜわざわざ? 背景とアプローチ
行動インサイト、行動経済学、行動科学とは何か?
組織内外で行動インサイトはどう扱われているのか
現実:行動インサイトの適用に関する事例研究の収集
第2章 何が行われているのか? 行動インサイトの事例研究からの洞察
機関
介入
結果と影響
第3章 次に目指すのは? 政策・研究課題の形成
どこに行動インサイトを適用すべきか?
行動インサイトを適用するのは誰か?
いつ行動インサイトを適用すべきか?
行動インサイトの基準の設定
第4章 行動インサイトの事例研究:消費者保護
スーパーマーケットの割引クーポン:ガソリン小売市場での競争の維持
詐欺を阻止する
請求書をもっと明確でわかりやすく透明性の高いものに
個人ローンの選択
家庭用電力の価格透明性
広告における不実表示
容器サイズの縮小
投資家向け情報シートとガイドライン
電子商取引におけるドリップ価格付け
いくらですか? 給料日ローン市場における最適価格比較サイトの設計
比較して増やす:年金比較ツールの設計
高齢市民を対象とした水道料金の減額
第5章 行動インサイトの事例研究:教育
放課後プロジェクト
成人識字率の向上
第6章 行動インサイトの事例研究:エネルギー
より効率的なエネルギー利用のための消費データの改善
消費者による再生可能エネルギーへの切り替え
エネルギー契約における透明性
エネルギー効率化プロジェクト
移行中の電力市場
スマートメーター
第7章 行動インサイトの事例研究:環境
節水のための社会規範とフィードバックの提供についての検証
買い換えから修理へ:電気電子機器廃棄物の削減に向けたデフォルトオプションの変更
エネルギー効率の良い電化製品の購入を促すためのエネルギー効率情報のフレーミング
燃料効率・排出量・維持費に関する情報のフレーミング
食品廃棄物を削減するための消費者による持続可能性情報の利用
食品廃棄物と賞味期限/製造日
食品廃棄物削減のための日持ちと真正性に関する情報のフレーミング
省エネ大型家電製品の使用に伴う節約に対する認識
取水改革
第8章 行動インサイトの事例研究:金融商品
ハイブリッド証券への投資
清算企業の取締役との意思疎通の改善
ガーナでの金融商品の透明性と情報開示の改善
ガーナにおける苦情解決
投資家教育のためのイニシアティブ
クラウドファンディング規制
ケニアでの食料援助に代わるデジタル送金
ケニアでの責任ある小口ローン契約
金融教育に関する全国調査
生徒への金融教育
借り手の過剰債務の防止
メッセージは受信しましたか? 年間取引明細書、メールアラートサービス、モバイルアプリが消費者の預金行 動に与える影響
年金商品のフレーミングは重要か?
貯蓄口座の切り替え
保険の更新:払いすぎていませんか?
付帯商品としての保険の販売
仕組預金について理解する
顧客に補償請求を促す
手紙の作成:顧客から自身のインタレスト・オンリー・モーゲージへの関与を引き出す
お金をお受け取りください:未完了のATM取引に対する補償の請求を消費者に促す
あなた宛です:個人宛にして注意を引く
注意・調査・切り替え:強制的情報開示に関する預金市場からのエビデンス
退職後の経済的安定の促進
第9章 行動インサイトの事例研究:健康と安全
色分けされた測定チャートを用いて意図せぬ見過ごしを減らす
臓器ドナー登録を増やす
航空マイルを利用した肥満治療
「キャロット・リウォード」
喫煙者をドアから離れさせるためのコペンハーゲン空港のナッジ
野菜の売上を伸ばす
より健康的な商品を選択するよう食堂を工夫する
ヘルススタイル調査:就学児と成人のセグメンテーション
効果的な結核治療
ラマダン期間中の糖尿病検査
パソコンでの「HIVリスクゲーム」を利用して健康的なライフスタイルを奨励する
健康のために歩く:健康的なライフスタイルのためのパイロットプログラム
公衆安全のためのパイロットプロジェクト
英国で臓器ドナー登録者数を増加させる
社会規範を利用して抗菌薬の過剰処方を減らす
SMS通知で予約に要する費用を知らせて予約に現れない患者を減らす
ザンビア農村部でコンドームの使用を促進する
第10章 行動インサイトの事例研究:労働市場
仕事と求職者のマッチング
仕事と求職者のマッチング2
所得補助への依存を低減させる
郵便会社からデータを入手する
納期限通りの納税を促す
求職者の就職支援
中小企業メンターの研修
メンタリングに対する中小企業の需要を高める
Eメールニュースレターを読んでもらう
政府プログラムの利用を促す
調査回答件数を最大限に増やす
第11章 行動インサイトの事例研究:公共サービスの提供
オンラインでの運転免許証の更新
企業登記申請書の不備
手紙を修正して企業からの回答率を向上させる
政府サービスを提供する一般アクセスポイント
コンプライアンスの奨励:相互会社からFCAへの提出を改善する
ヘルプはここにあります:企業の許可申請をサポート
政府サービスへの信頼を向上させる
第12章 行動インサイトの事例研究:税
非課税貯蓄口座の限度額の遵守を向上させる
オンライン登録を完了させる
未納税金の徴収
中小企業のコンプライアンスを向上させる
税の徴収に関わる相互作用
インフルエンザ予防接種プログラムの利用を促す
社会規範を利用して迅速な納税を促す
第13章 行動インサイトの事例研究:情報通信
コロンビアにおける消費者保護
電話・インターネットサービス契約書の簡略化
電話番号の請求書:管理費の支払いを期限通りに
情報通信分野における消費者のための価格フレーミング
情報通信市場での消費者による乗り換え
自動更新契約
ブロードバンドの速度に関する消費者向け情報とインターネット中立性
消費者に通話料情報を提示する最適な方法
第14章 行動インサイトの事例研究(追加)
政府プログラムの報告手続き
学生ローン返済補助の再申請
学生ローンを期限通りに返済させる
最新の企業データを確保するためのポップアップ・プロンプト
出口の選択肢の最適な利用を促す床面標識
吸い殻を灰皿に捨てさせるためのナッジ
納期限通りの納税を促す
産業統計調査の回答率を引き上げる
起業の促進
慈善事業への寄付を増やす
学生ローンの無理のない返済
用語集
監訳者あとがき
経済協力開発機構(OECD)[ケイザイキョウリョクカイハツキコウオーイーシーディー]
著・文・その他/編集
齋藤 長行[サイトウ ナガユキ]
監修/編集
濱田 久美子[ハマダ クミコ]
翻訳
内容説明
「行動インサイト(behavioural insights)」、すなわち行動科学と社会科学から得られる洞察には、意思決定、心理学、認知科学、脳科学、組織行動とグループ行動などが含まれ、政府はこれらを公共政策の成果を上げるために取り入れつつある。しかし、その活用が広がるにつれて、その有効性と哲学的基盤に疑問が提示されるようになってきている。本書は行動インサイトの活用とその範囲を、世界中の国々と様々な政策分野の100を超える適用事例を引用して論じており、その中には、消費者保護、教育、エネルギー、環境、金融、健康と安全、労働市場政策、公共サービスの提供、税、情報通信などが含まれる。本書は、この試験的アプローチをひとつの公共政策ツールとして持続的に活用できるようにするための方法を提案する。
目次
なぜわざわざ?背景とアプローチ
何が行われているのか?行動インサイトの事例研究からの洞察
次に目指すのは?政策・研究課題の形成
行動インサイトの事例研究:消費者保護
行動インサイトの事例研究:教育
行動インサイトの事例研究:エネルギー
行動インサイトの事例研究:環境
行動インサイトの事例研究:金融商品
行動インサイトの事例研究:健康と安全
行動インサイトの事例研究:労働市場〔ほか〕
著者等紹介
齋藤長行[サイトウナガユキ]
山形県出身。慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科後期博士課程修了。博士(メディアデザイン学)。青山学院大学HiRC客員研究員、経済協力開発機構(OECD)科学技術産業局(STI)ポリシーアナリスト、国立国会図書館非常勤研究員、お茶の水女子大学非常勤講師等を経て、現在、KDDI総合研究所研究主査
濱田久美子[ハマダクミコ]
1975年香川県生まれ。1998年立命館大学国際関係学部卒業。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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