出版社内容情報
先住民の言葉で「薪になる木の豊かな場所」に由来する「グアテマラ」。マヤ文明揺籃の地で現在でもマヤ文化が息づく一方で、征服者スペインの文化と融合し多彩な魅力を放っている。20世紀後半から続いた長い内戦を終えて新たに発展を目指す国の現況を活写。
はじめに
地図
? グアテマラへの誘い
第1章 「薪になる木の豊かな場所」――多様な自然環境
第2章 歴史的変遷――行政区分と経済構造
第3章 グアテマラの地名――多くはナワトル語を起源
第4章 多様な人々と多様な文化――インディヘナとは、ラディーノとは
第5章 トウモロコシを育て食べる最高の技術をもつ人々――食事の科学
【コラム1】ポジョ・カンペーロ――グアテマラ発の世界企業
第6章 旧都アンティグア市――世界遺産都市を散策する
第7章 新都グアテマラ市――拡大する都市化の光と影
第8章 交通インフラ事情――首都における深刻な交通渋滞
第9章 グアテマラと日本との関係――外交関係樹立80周年
【コラム2】国家の表象
? マヤ文明の時代
第10章 ティカルとキリグア――マヤ文明の世界遺産
第11章 ティカル国立公園――日本の協力がきわだつ複合遺産
第12章 グアテマラ考古学界の現状――マヤ文明研究の最前線
第13章 ペテン県セイバル遺跡の調査から――マヤ文明の起源と盛衰の探求
【コラム3】カミナルフユ遺跡公園
第14章 西部高地三都市を訪ねて――ケツァルテナンゴ、チチカステナンゴ、ソロラ
【コラム4】頭蓋変形――マヤに息づく二千年の伝統
? スペインの征服と植民
第15章 ペドロ・デ・アルバラードのグアテマラ征服――間断なく続く戦い
第16章 初代グアテマラ総督――アデランタード・ドン・ペドロ・デ・アルバラード
第17章 異文化との衝突と植民地支配体制の確立――スペイン人支配者と先住民
第18章 キリスト教の布教と先住民――神の名におけるマヤ先住民の支配
第19章 『ポポル・ウーフ』と先住民文書の世界――植民地時代を生き抜く叡智
第20章 征服者セバスティアン・デ・ベラルカサル――中南米の歴史に大きな影響を及ぼしたコンキスタドール
第21章 現中米5カ国を包含するグアテマラ総監領時代――メキシコ市やリマ市に次いで
? スペインからの独立と近現代
第22章 独立前後――中米連邦共和国の成立と解体
第23章 独裁の時代――独裁者たちとアメリカ資本
第24章 民主主義の芽生え――10年間の春の季節
第25章 民主主義の挫折――内戦の勃発
第26章 あそこに火を放ったのは誰だ――スペイン大使館の悪夢
第27章 2015年大統領選挙――コメディアン出身の大統領誕生
? 現代の政治と経済
第28章 新自由主義――開発につながらない自由化・開放化
第29章 米国企業の利権――バナナ産業を中心に
第30章 新経済政策――貧困問題をどうとらえるか
第31章 マキラドーラ――韓国資本に支えられるアパレル産業の発展
第32章 マキラドーラの労働問題――深まる労働者の窮状
第33章 拡大する中国のプレゼンスと台湾――近年高まる中国との経済関係
第34章 ディア・デ・プラサ――買い物・情報交換の重要な場である定期市
第35章 ソロラ地方の市場網――アルティプラノ南部の市場から
第36章 先住民の商人――9割以上がマヤ系先住民
第37章 大規模卸売商人の活動と生業構造の変動――1990年代のマヨリスタたち
第38章 米国のグアテマラ人――移民組織と国際送金
第39章 グアテマラとメキシコの国境――トランスナショナルな空間から考える移民問題
? 紛争を乗り越え多文化主義へ
第40章 反乱と抵抗の500年――先住民による大地と尊厳の防衛
第41章 先住民族の権利――多文化性認知と自治権行使
第42章 国内武力紛争・ジェノサイド――長期内戦の構図
第43章 和平協定と残された課題――道半ばの協定履行
第44章 市民の安全保障・マラス――治安悪化のコスト
第45章 女性の権利拡大に向けて――女性運動のプロセス
第46章 エリート教育から大衆教育への歩み――フェ・イ・アレグリア(信仰と喜び)教育の定着
? 宗教と伝統
第47章 プロテスタントの布教とカトリックの対応――カトリック改革派の浸透
第48章 中西部高地先住民の織りと装い――民族衣装の語り?
第49章 村ごとに異なる華やかな祭礼衣装――民族衣装の語り?
第50章 布が語るマヤ十字――グアテマラの民族衣装に魅せられて
第51章 グアテマラの仮面――伝統と変貌
第52章 マシモン(サンシモン)儀礼の諸相――甦るマヤの祖先神
第53章 サンティアゴ・アティトランの守護聖人祭――祭儀でまとまる強い絆
第54章 エスキプラスの黒いキリスト――中米和平樹立の地に教皇訪問
? 言葉と人々
第55章 インディヘナの言語――マヤ諸語・シンカ語・ガリフナ語
第56章 マヤ文字――高度なメソアメリカ文明の象徴
第57章 テキスト――低地と高地に見られる特徴
第58章 現代の先住民言語状況――社会言語学的観点から
第59章 グアテマラ総監領のナワ系言語の役割――多言語社会におけるリンガ・フランカ
第60章 ガリフナの町――リビングストンの賑わい
【コラム5】サン・イシドロ祭とガリフナの芸能
? 文化と芸術
第61章 アストゥリアスと〈魔術的リアリズム〉――時代に先駆けた中南米的現実への覚醒
第62章 モデルニスモにはじまる現代文学――トラウマとしての反革命クーデター
第63章 屋須弘平――100年前のアンティグアに暮らした日本人写真家
【コラム6】グアテマラ切手に見るマヤ文明・先住民
第64章 グアテマラ映画――映像文化の創成をめざして
第65章 グアテマラ現代演劇小史――「グアテマラの春」に双葉が芽吹いた
第66章 豊潤なグアテマラ音楽――祭礼音楽からロック・マヤまで
第67章 21世紀グアテマラの博物館――様々な貢献と新しい着眼点
グアテマラを知るための参考文献
桜井 三枝子[サクライ ミエコ]
著・文・その他/編集
目次
1 グアテマラへの誘い
2 マヤ文明の時代
3 スペインの征服と植民
4 スペインからの独立と近現代
5 現代の政治と経済
6 紛争を乗り越え多文化主義へ
7 宗教と伝統
8 言葉と人々
9 文化と芸術
著者等紹介
桜井三枝子[サクライミエコ]
1944年生まれ。元大阪経済大学人間科学部・人間科学研究科教授、京都外国語大学ラテンアメリカ研究所客員研究員。博士(上智大学、地域研究)。専攻:文化人類学、メソアメリカ地域研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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