目次
第1部 都市における貧困とクライエンテリズム的なつながり(侵食されるアソシエーション―スラムの土地供給事業とクライエンテリズム的なつながり;さまよえる「人的資本への投資」―条件付現金給付政策と希求されるクライエンテリズム的なつながり)
第2部 海域社会における資源管理とコミュニティ的つながり(規律化するコミュニティ―海域資源管理の制度化のプロセス;開かれるコミュニティ―海域資源管理制度の文脈化のプロセス;海域の生計を支えるコミュニティ的つながり―ある漁師のライフヒストリーから)
第3部 トランスナショナルな社会的場における移動と親密なつながり(「草の根のトランスナショナリズム」と親密なつながり―ある出稼ぎ労働者の妻のライフヒストリーを中心に;差異化としての海外移住―ミドルクラス・プロフェッショナルのアイデンティティに注目して;葛藤のなかの「家族」―アメリカ合衆国におけるフィリピン系1.5世代移民のアイデンティティ;ゆるやかな連帯の可能性―ミドルクラスの両義的アイデンティティと「95年法」改正運動)
著者等紹介
関恒樹[セキコウキ]
1968年生まれ。立教大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)、専門は文化人類学。広島大学大学院国際協力研究科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Mealla0v0
3
序章では、「社会的なもの」をめぐる研究、状況が非常に簡潔な形でレヴューされている一方で、その問題点、すなわち、西洋近代型の理解(ネオリベラルな統治という形に収斂していく言説)を相対化する実践として、フィリピンでのフィールドワークを元にした文化人類学の立場が打ち出されており、非常に興味深い。特に「社会的なもの」のフォーマルな制度としての福祉国家に関する研究、ないしはその失調を論ずるポスト福祉国家論としてではなく、現在のフィリピンが経験する状況の中で見出される、アンフォーマルなものとしての「社会的なもの」。2021/02/20