目次
1 倭国(九州)年号とは(初めて「倭国年号」に触れられる皆様へ;「九州年号(倭国年号)」が語る「大和朝廷以前の王朝」
九州年号(倭国年号)偽作説の誤謬―所功『日本年号史大事典』『年号の歴史』批判
九州年号の史料批判―『二中歴』九州年号原型論と学問の方法
『二中歴』細注が明らかにする九州王朝(倭国)の歴史 ほか)
2 次々と発見される「倭国年号」史料とその研究(九州年号「大長」の考察;「近江朝年号」の研究;九州王朝を継承した近江朝廷―正木新説の展開と考察;越智国・宇摩国に遺る「九州年号」;「九州年号」を記す一覧表を発見―和水町前原の石原家文書 ほか)
感想・レビュー
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mft
2
日本の年号に2系統あり、大宝以降現代に続くもの以前にあったもう一つの系統を「倭国年号」とこの本では呼んでいる。この系統の違いは王朝の交代を意味し「倭国」は九州を本拠とした王朝だった。といった古田史学の名で呼ばれる説を前提知識に持った人が読むと想定されている本だと思うが、正直そんな知識はなかったので新鮮ではあった。この本自体は倭国年号の史料を比較検討したり王朝交代期の細かい展開に関する説を開陳したりした雑多な論の寄せ集め。2018/06/14
aki
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ヤマト政権以前に日本列島を代表する王権だった倭国(筑紫中心の王権)で使われた年号を解説した本。『続日本紀』にも「白鳳」とか、「朱雀」といった倭国年号が書かれている(従来は書紀にある「白雉」「朱鳥」の誤りと解釈)。労作だが、1点、不満が。倭国年号の一覧が載っている『二中歴』を重視しているせいか、告貴、願転、光元、定居、倭京系統を採用し、法隆寺釈迦三尊像の後背銘にある同時代の「法興年号」の影が薄いことだ。『二中歴』は、せいぜい2次資料、3次資料。金石文である釈迦三尊像後背銘のほうをベースにすべきじゃないの。2017/06/26