目次
序 戦争をめぐる社会学の可能性
第1章 戦争と社会学理論―ホモ・ベリクス(Homo bellicus)の発見
第2章 大衆社会論の記述と「全体」の戦争―総力戦の歴史的・社会的位格
第3章 モザイク化する差異と境界―戦争とジェンダー/セクシュアリティ
第4章 覆され続ける「予期」―映画『軍旗はためく下に』と「遺族への配慮」の拒絶
第5章 戦死とどう向き合うか?―自衛隊のリアルと特攻の社会的受容から考える
第6章 証言・トラウマ・芸術―戦争と戦後の語りの集合的な分析
第7章 戦後台湾における日本統治期官営移民村の文化遺産化―戦前・戦後の記憶の表象をめぐって
第8章 「豚」がプロデュースする「みんなの戦後史」―グローバルな社会と沖縄戦後史再編
第9章 被爆問題の新たな啓発の可能性をめぐって―ポスト戦後70年、「被爆の記憶」をいかに継承しうるのか
著者等紹介
好井裕明[ヨシイヒロアキ]
日本大学文理学部社会学科教授。1956年、大阪市生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。京都大学博士(文学)
関礼子[セキレイコ]
立教大学社会学部教授。1966年、北海道生まれ。1997年、東京都立大学社会科学研究科社会学専攻博士課程単位取得退学。東京都立大学博士(社会学)。帯広畜産大学畜産学部講師・助教授(准教授)を経て現職。専門は環境社会学、地域環境論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Mealla0v0
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戦争社会学シリーズ。近年、この研究領域が活性化しているなか、注目の一冊。▼荻野昌弘「戦争と社会理論:ホモ・ベリクスの発見」。戦争がこれまで社会学の主要テーマとなり得なかったのは、戦争が「秩序」の「外部」だとされてきたことによる、と。それを転覆し、戦争がいかに「秩序」を形成するかを問おう、という。達見。▼野上元「大衆社会の記述と「全体」の戦争」。国家を戦争の遂行主体とみなし、その国家による秩序形成が転じて、戦争のための秩序であったとする。とりわけ、市民社会論の記述と総力戦体制の一致を指摘する点が有意。2017/05/18