出版社内容情報
長野県の第七次中和鎮信濃村開拓団という一つの開拓団に焦点を当て、戦前と戦後の連続性を踏まえた満洲移民の歴史と彼らの経験を捉え直す。残留孤児、残留婦人、中国残留者、現地中国人たちのライフヒストリーを日中両国で丹念に聞き取り、彼らに関連する膨大な資料を渉猟した貴重な研究。
序章
1 問題の所在
2 先行研究のレビューと課題設定
3 分析の枠組み・方法・資料
4 本書の構成
第一章 満洲移民事業の歴史――展開・送出・崩壊・戦後
はじめに
1 満洲における日本人の進出
2 展開――試験移民期(一九三二一九三六年)
3 送出――本格移民期(一九三七一九四一年)
4 崩壊――移民崩壊期(一九四二一九四五年)
5 満洲移民の戦後期(一九四五年八月)
おわりに
第二章 長野県における満洲移民送出のプロセスと地域的基盤――大正期から一九四五年までを中心に
はじめに
1 大正期における長野県の「海外発展」の活動
2 南米移民から満洲移民への転換
おわりに
第三章 満洲開拓をめぐる集団的記憶――長野県第七次中和鎮信濃村開拓団を事例として
はじめに
1 第七次中和鎮信濃村開拓団の入植経過
2 満洲における信濃村開拓団の生活
3 敗戦・引揚げの記憶
4 中和開拓団の戦後
おわりに
第四章 フィールドワークの記録
はじめに
1 フィールド調査概要
2 インフォーマントの概観
第五章 満洲開拓をめぐる個々人の記憶と語り――第七次中和鎮信濃村開拓団を中心に
はじめに
1 集団引揚者の事例
事例1 NMさんの場合――「満洲は楽しかった、おもしろかった」
事例2 木下主計さんの場合――「申し訳ないね、本当に申し訳なかった」
事例3 YWさんの場合――「生きる、死ぬのは嫌だ!」
事例4 北澤博史さんの場合――「中国人の養子になりたくない、日本に帰るんだ」
2 中国残留婦人の事例
事例1 KMさんの場合――「満妻として(生きるしか)しょうがないのよ」
事例2 XLさんの場合――「親や兄弟を助けるために……」
事例3 KTさんの場合――「やっと故郷に帰りました」
事例4 SMさんの場合――「家族を助けるためにね」
3 中国残留孤児の事例
事例1 Iさんの場合――「家族を救う、中国人家庭の童養になって……」
事例2 Aさんの場合――「日本人として、日本で人間らしく生きていきたい」
事例3 Bさんの場合――「私たちの生きられる場所は……」
事例4 Cさんの場合――「中国人の家庭を転々とした残留生活」
4 未帰還者の事例
中国残留婦人・下平節子さんとその家族――「いつか母を故郷へ届けてあげよう」
第六章 満洲開拓をめぐる現地社会の人々の記憶と語り
はじめに
1 フィールド調査地の中和鎮と慶陽農場
2 満洲開拓をめぐる現地社会の人々の経験
3 支配される現地社会に関する考察
おわりに
第七章 戦後中国の残留日本人政策
はじめに
1 一九四六年から一九四八年の土地改革と残留日本人
2 新中国の成立と残留日本人に対する国家管理
3 残留日本人の在留と国籍
おわりに
第八章 中国残留日本人の戦後体験――第七次中和鎮信濃村開拓団を事例として
はじめに
1 中国と日本という二つの社会を生きる
おわりに
第九章 満洲開拓をめぐる「記憶の場」の形成と継承――戦後の日本社会における集団引揚者の事例を中心に
はじめに
1 敗戦直後の日本社会における集団引揚者の状況
2 「抑圧された」満洲開拓の記憶
3 満洲開拓にまつわる「記憶の場」の生成
4 満洲開拓という記憶の継承に向けて
おわりに
終章
はじめに
1 地域、集団における満洲移民の歴史と記憶についての検討
2 個人の経験からみた満洲移民の歴史
3 満洲移民の戦後史についての検討
4 今後の課題
あとがき
参考文献
索引
趙 彦民[チョウ エンミン]
1973年、中国黒龍江省に生まれる。2010年、名古屋大学大学院国際開発研究科博士課程修了、博士(学術)。2010年、中国・山東大学歴史文化学院講師。現在、中国貴州民族学・人類学高等研究院研究員、山東大学文化遺産研究院副教授。
主要著書・論文:『満洲愛国信濃村の生活――中国残留孤児達の家族史』(単著、三重大学出版会、2007年)、「中国残留孤児の生きられた歴史」蘭信三編『中国残留日本人という経験――「満洲」と日本を問い続けて』(勉誠出版、2009年)、「長野県における『満洲移民』送出のプロセスと地域的基盤――大正期から1945年までを中心に」『国際開発研究フォーラム』(第38号、2009年)、「?后日本?洲移民『??之?』的生成」『民俗研究』(?第109号、2013年)
目次
第1部 歴史社会のなかの満洲(満洲移民事業の歴史―展開・送出・崩壊・戦後;長野県における満洲移民送出のプロセスと地域的基盤―大正期から一九四五年までを中心に;満州開拓をめぐる集団的記憶―長野県第七次中和鎮信濃村開拓団を事例として)
第2部 個人経験のなかの満洲(フィールドワークの記録;満洲開拓をめぐる個々人の記憶と語り―第七次中和鎮信濃村開拓団を中心に;満洲開拓をめぐる現地社会の人々の記憶と語り)
第3部 戦後のなかの満洲(戦後中国の残留日本人政策;中国残留日本人の戦後体験―第七次中和鎮信濃村開拓団を事例として;満洲開拓をめぐる「記憶の場」の形成と継承―戦後の日本社会における集団引揚者の事例を中心に)
著者等紹介
趙彦民[チョウエンミン]
1973年、中国黒龍江省に生まれる。2010年、名古屋大学大学院国際開発研究科博士課程修了、博士(学術)。2010年、中国・山東大学歴史文化学院講師。現在、中国貴州民族学・人類学高等研究院研究員、山東大学文化遺産研究院副教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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