出版社内容情報
明治維新という日本の一大変革期に、ジェンダーは如何なる変容を遂げ、近代国家成立に向け再構築されていったのか。江戸の権力的空間に存在した女性である春日局、絵島が、明治期にどのように再ジェンダー化されたのか、等、重層的・構造的分析を行う。
はじめに
第一部 日本のジェンダー史研究と本書の課題
第一章 日本のジェンダー史研究――米英との比較において
一 米英における女性史・ジェンダー史研究
1 アメリカにおける女性史・ジェンダー史研究
2 イギリスにおける女性史・ジェンダー史研究
3 米英の女性史・ジェンダー史研究の共通点と相違点
二 日本の女性史研究とジェンダー史研究
1 日本のフェミニズムと女性学
2 日本女性史の研究動向
3 ジェンダー概念の登場と日本女性史研究
4 ジェンダー史研究の展開とジェンダー史学会の創設
5 日本のジェンダー史研究の課題と方法
第二章 本書の課題と方法
一 明治維新とジェンダー――研究史の概観
二 本書の課題と方法
第二部 明治維新とジェンダー――再構築をめぐって
第一章 女中と明治維新――敗者復活戦から外された人々
はじめに
一 女中の空間・下女の空間
二 女中のイメージ・下女のイメージ
三 公的空間から私的空間へ
四 下婢名称の登場と増加
おわりに――敗者復活戦から外されて
第二章 江戸幕府の財政システムとジェンダー――寛政改革から幕末期までの奥向き支出
はじめに
一 幕府財政システムと「表」・「奥」
二 寛政改革と奥向きへの支出
三 幕末期奥向き支出の特徴
おわりに
第三章 明治前期におけるジェンダーの再構築と語り――江戸の女性権力者「春日局」をめぐって
一 自由民権・私擬憲法とジェンダー
二 幕藩国家権力のジェンダー配置と春日局
三 劇場空間の春日局
四 おわりに――明治前期の「春日局」と「佐倉惣五郎」
第四章 明治前期のジェンダー再構築と絵島――江戸の女性権力者のゆくえ
はじめに
一 絵島事件と江戸の言説
二 『江戸紫徳川源氏』の上演と絵島
三 明治前期の劇場空間における「ジェンダーの政治」
おわりに
第五章 まとめ
あとがき
初出一覧
索引
長野 ひろ子[ナガノ ヒロコ]
中央大学経済学部教授。日本経済史、ジェンダー史。主な著作に『幕藩制国家の経済構造』(吉川弘文館、1987年)、『ジェンダーで読み解く江戸時代』(編著、三省堂、2001年)、『エスニシティ・ジェンダーからみる日本の歴史』(編著、吉川弘文館、2002年)、『日本近世ジェンダー論』(吉川弘文館、2003年)、『日本近代国家の成立とジェンダー』(編著、柏書房、2003年)、『ジェンダー史を学ぶ』(吉川弘文館、2006年)、『ジェンダー史叢書6 経済と消費社会』(編著、明石書店、2009年)、『歴史教育とジェンダー――教科書からサブカルチャーまで』(編著、青弓社、2011年)、『日本人の「男らしさ」――サムライからオタクまで「男性性」の変遷を追う』(監訳、明石書店、2013年)、『歴史を読み替える ジェンダーから見た日本史』(編著、大月書店、2015年)などがある。
目次
第1部 日本のジェンダー史研究と本書の課題(日本のジェンダー史研究―米英との比較において;本書の課題と方法)
第2部 明治維新とジェンダー―再構築をめぐって(女中と明治維新―敗者復活戦から外された人々;江戸幕府の財政システムとジェンダー―寛政改革から幕末期までの奥向き支出;明治前期におけるジェンダーの再構築と語り―江戸の女性権力者「春日局」をめぐって;明治前期のジェンダー再構築と絵島―江戸の女性権力者のゆくえ;まとめ)
著者等紹介
長野ひろ子[ナガノヒロコ]
中央大学経済学部教授。日本経済史、ジェンダー史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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