目次
1 パレスチナ イメージと実像
2 歴史
3 生活と文化
4 世界の中のパレスチナ
5 経済と社会
6 パレスチナと日本
著者等紹介
臼杵陽[ウスキアキラ]
日本女子大学文学部史学科教授。パレスチナ人との最初の出会いは1980年8月のレバノンのアイン・アル・ヘルワ難民キャンプ訪問時。以来、アンマーン2年半、エルサレム2年、そしてベイルート半年と長期滞在の機会を得た。専門は中東現代史・中東地域研究。日本・イスラーム・ユダヤ関係史にも関心を持っている
鈴木啓之[スズキヒロユキ]
日本学術振興会・特別研究員PD(日本女子大学)。中東地域研究、パレスチナ人の政治活動を専門とする(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鯖
21
美しい風景や料理、人々の日常を切り取った写真がたくさん収録されているので、無事でいてくれ…と全ての写真に祈ってしまい、お腹が痛くなってくる本である。パエリアみたいに焼き付けてひっくり返して食べる「マクルゥベ」とかさ、そういう美味しい料理の話だけしていたい。いやしかし井戸を掘るにもイスラエルの許可がいるとかさ~、地下通路になる恐れがあるからでしょうけども、なんとかならんのか…。イスラエルを知るための章と併せて読んだわけですけども、著者同士でキャットファイト繰り広げた本が読みたいとは思ってしまった。2023/11/05
井上裕紀男
19
オリーブの木を育て、油や石鹼を作り、コナーフェ(菓子)を食べる。素敵な刺繡もある。そこにある暮らしは昔から変わらない。何故かペリシテ人は迫害を受け続けている。 UNWRAの支援を受け、難民キャンプで子どもたちは教育を受け、世界平均より高い力をつけている。なけなしの蓄財を出してでも教育が希望の光、皆必死で生きている。 波はあるけれども、日本はパレスチナ支援を続けており、世界でもトップ10に入る。 戦争と民族差別は、言いがかりをつけて人を苦しめる。金と資源を命よりも優先させる人達がいる限り。2021/05/15
salvia
5
パレスチナ問題というと必ず出てくる「オスロ合意の欠陥」。水資源を含めた土地問題、分断壁・検問所設置による生活や経済活動へのダメージ… イスラエルは本当に悪知恵が働くというのが読後先ずの感想。劣悪な環境でもパレスチナ人は教育に希望を託し、難民の子供たちはTIMMSで平均よりも高いレベルだそうだ。イスラエルとUAEの国交樹立のニュースが出たばかりの今、様々な立場から書かれたこの本によって、少しでも多く知ることが出来てよかったと思う。2020/09/20
Tom
4
2016年刊。明石書店のエリア・スタディーズシリーズを読むのはこれが初めて。本書は分野別に60章、さらにコラムが26あり、多くの書き手の寄稿によって成っている。年が明けてもなお続くガザの「虐殺」はいつ終わるのか。日本のアホのネトウヨは「はますがさきにこうげきしたんだー(^q^)」の一点張りであるが、奴らには2023年10月7日より前の歴史は存在しないらしい。聖書の舞台にもなっているパレスチナの地には膨大な歴史があるが、現代に繋がる決定的なポイントはやはり1948年のイスラエル建国であろう。→2024/01/19
belier
4
幅広い話題の中から一つを選ぶなら、ヤ―ファー周辺はオレンジ栽培が盛んでヨーロッパにも名を馳せるほど豊かな農業地域だったという記述。1948年イスラエルの建国以降、このような農業に恵まれた土地の多くは同国の領内になり、オレンジは代表的産物になったという。先日再読した土地を追われた家族を描くカナファーニーの『悲しいオレンジの実る土地』という短編を思い出した。戦前、中国人のふりをして俳優李香蘭として国策に利用された山口淑子が参議員議員になり、PLO議長アラファートを日本に呼ぶのに奔走したという話も興味深かった。2023/11/08